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2019年1月 9日 (水)

『シュガー・ラッシュ:オンライン』を見る

松竹系シネコンのマイル加算による無料券があったので、ふだん見ないものを見ようと思い、ディズニーの『シュガー・ラッシュ:オンライン』を見た。疲れる大人数のマイク講義の後に、電車のなかでネットで予約して劇場に入ると、子供連れのお母さんだらけ。

平日の午後で小学生は授業があるので、たぶんその前の子供たちだ。私の横は、5歳くらいの女の子で、その横にお母さんがいて、その向こうには7歳くらいの男の子。若いカップルはいたが、私のような中年がいるのは、ちょっと恥ずかしかった。

映画が始まってその理由がわかった。何と、吹替版の上映だったのだ。ラルフが山寺宏一の声で「オレはよー」とお気楽に話し始めて、一瞬出ようかと思った。しかし去年見たディズニーのアニメ『リメンバー・ミー』はかなりよかったので(字幕版だったが)、そのまま留まった。

結論から言うと、見て損はなかった。なぜならネット社会の現在を描いていたから。ヴァネロペはゲーム「シュガー・ラッシュ」の中の住人だが、ゲームのハンドルが壊れてしまい、親友のラルフと一緒にネットの世界に探しに行く。

おもしろかったのは、ネットの世界に「フェイスブック」「グーグル」「ユーチューブ」などのサイトが巨大な高層ビルの形でひしめきあっていたこと。そこで検索サイトからオークション・サイトを見つけ、探していたハンドルを見つけて2人は競り落とす。

何も考えず高い金額で落としてしまい、24時間以内にそのお金を探す必要が出てくる。そこでラルフは「バズ・チューブ」という動画サイトで「いいね」を稼いで換金しようとするが、じきに飽きられる。一方ヴァネロペはレースのサイトのカリスマ女性、シャンクに憧れてレースにのめり込む。

ラルフはヴァネロペを取り戻すために、騙されて邪悪なウイルスサイトと手を結ぶ。ウイルスは不具合を見つけてはそれをコピーして拡大させる。結局は不安定な状態のラルフが増産されて、ネット世界を破壊し始める。

隣の女の子が途中で「怖い」と目をつむるくらい、途中からダークな展開だった。唯一、ヴァネロペがディズニーのサイトの「プリンセスの部屋」で白雪姫からアナ雪まで、14人のディズニー・プリンセスと仲良くするシーンが何度か出てくるが、ここでは子供たちは大喜び。私も妙に嬉しかった。

それにしても、荒っぽいが根は優しい青年のラルフが少女のヴァネロペと友情を結ぶという基本構造に、私は少女誘拐のような危うさを感じた。ヴァネロペがうるさい彼に嫌気がさして、男っぽいシャンクに同性愛的に惹かれるのも、アナ雪と同じく今風。

ただ、これだけネットが普及した時代に、主人公たちが初めてWIFIを知ってネット世界に入るというのもちょっと遅れている感じか。さらにサイトが未来都市のビルの形で主人公たちがカプセルで運ばれるというのも、これまでのSFと同じで芸がない。

それでも、実は全く退屈しなかった。

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