« 声のありがたみ | トップページ | 母のお見舞い:その(7) »

2019年1月13日 (日)

さらば平成の興行界

先日、「東京新聞」の新年の特集で「平成を表す映画」について聞かれて、私は『おくりびと』と答えた。それが送られて来た紙面を見たら、「専門家が選ぶベスト1」になっていて、「話が違う」と思ったが、その記事全体はおもしろかった。

平成元年は1989年で、ミニシアター全盛期だった。その年に渋谷の「ル・シネマ」がオープンしているが、2年前が日比谷の「シャンテ」。もちろん1980年代初頭に、シネマスクエアやユーロスペースなどの元祖ミニシアターができている。平成になって大手も参加したというところ。

一方でシネコンは1993年に神奈川県の海老名で始まった。それが2002年には全スクリーン数の50%を超しているから、普及は早かった。まだ数字は出ていないが、昨年は9割を超しているのではないか。

そして2015年にネットフリックスが日本に上陸した。昨年はベネチア国際映画祭でネットフリックス製作の『ローマ』が最高賞を受賞した。

つまり上映形態は、ミニシアターが全盛期を経て地方を中心に衰退し、シネコンは隆盛の極み、そして平成の終わりに配信がじわじわ迫ってきているということだろう。

平成はビデオの時代でもあった。経験で言うと、VHSのレンタルが一般的になったのは、1986年あたり。その頃はソニーのベータとの戦いもあったが、VHSが残った。レーザーディスクはVHSより画質がよかったが、DVDに追い越された。そしてブルーレイになった。古典のデジタル復元版も進んだ。

最盛期の2004年はレンタルを含む売り上げは3500億円もあったが、今は1500億円くらい。配信は売り上げを公表していないが、ある資料によれば1500億円くらいらしい。レンタルはもうすぐなくなるだろう。

だから平成は、「映画館で見る」という行為が、多様に広がった時代とも言える。さらに日本映画が海外でたくさん賞を取り、劇場公開されるようになった。これは配信で加速されるだろう。

昭和の頃の、「映画館で映画を見る」という当たり前のことが、平成の時代に大きく揺らいだとも言える。次の時代には、映画館に行くのは歌舞伎座に行くような特別の行為になっているかもしれない。

|

« 声のありがたみ | トップページ | 母のお見舞い:その(7) »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/67580420

この記事へのトラックバック一覧です: さらば平成の興行界:

« 声のありがたみ | トップページ | 母のお見舞い:その(7) »