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2019年1月 7日 (月)

『台北暮色』の甘美な倦怠感

台湾のホウ・シャオシェン監督が製作し、ホウに近いの資質と同時にエドワード・ヤンからの影響も感じられるという『台北暮色』をようやく見た。レイトショーだったので私には遅すぎたが、昼間の上映が始まったので見に行った。一昨年の東京フィルメックスでも話題になっていた。

映画は3人の男女を描く。台中に住む恋人と別れて台北でヨガを教える魅力的な女性シュー、近くに住む知恵遅れの少年リー、車に住んで雑用を手伝いながら生きる中年に近づいたフォン。3人とも台北の街を彷徨い、周囲の人々に翻弄されながら生きている。

シューには台中から恋人がやってくるが、彼女は気が乗らない。むしろ香港に住む7歳の娘の心配をしている。ふとしたきっかけでフォンと出会い、2人は夜中にドライブする。フォンの親友の家に2人で行くが、そこの家では父母の仲が悪く、父は息子にも当たる。

冒頭の3人が地下鉄に乗っているシーンから魅了された。3人のそれぞれが目的のない毎日を送っており、実に甘美な倦怠感が漂ってくる。もはやどこにも生きる希望がなくなってしまったような、終わった感じというのか。それでも絶望ではない。

フォンは雨の中を屋根を修理したり、窓枠を直そうとしたり。いったいその仕事に意味があるのかもわからない行為を、文句も言わずに困った顔をして繰り返し、シューはそれを見て安堵する。

リーは母親からその日にすべきことを書かれたメモをもらうが、いつも忘れて違うことをしてしまう。それを優しく見守る母親。

シューを乗せたフォンの赤いスズキの車は、高速道路の交差点付近でエンストしてしまう。何とか車を動かそうとするが、一向にうまくいかない。

結局、何も起きない。それでも醸し出す雰囲気の倦怠感は何ともいえない。確かにエドワード・ヤンに近いと言えよう。女性監督、ホアン・シーの第一回長編というが、相当の才能の登場である。

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