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2019年1月27日 (日)

『半世界』のリアルさと唐突さ

2月15日公開の阪本順治監督『半世界』を見た。実は昨秋の東京国際映画祭前に見たのだが、どこか微妙だったので、アップするのをためらっていた。

阪本監督のオリジナル脚本で、30代後半の3人の男を描く。中心となる紘(稲垣吾郎)は、田舎町の炭焼き窯で備長炭を作って妻(池脇千鶴)と息子と暮らしている。仕事に熱心なあまり、妻や息子とはすれ違いばかり。

そこにやってきたのが、親友だった瑛介(長谷川博己)。長年勤めた自衛官を辞めて、誰も住んでいない実家に住み始めるが、様子が変だ。もう一人の親友は地元で暮らす光彦(渋川清彦)で、中古車販売をしている。

最初は心を閉ざしていた瑛介は、2人の旧友と会って話すうちに次第に打ち解けてゆく。紘も自分のこれまでの生き方を振り返って考え直す。

中年前の3人の男たちも、紘の妻も子供もその日常の描写に強いリアリティがある。稲垣吾郎がまさか田舎の炭焼き職人をやるとは思わなかったが、彼が毛糸の帽子をかぶって、淡々と炭を焼くシーンがなかなかいい。妻を演じる池脇千鶴は本当に田舎の主婦のよう。

息子も次第に父親に近づいてゆき、これからうまく行くかと思うが、物語は中盤から思わぬ方向へ展開する。瑛介の変容はちょっと唐突だし、紘に起きる不幸もまさかと思ってしまう。

確かに実人生はこうした「まさか」に満ちている。しかし映画として見た時に、せっかくの面白さをあえて半減させているようにも見えた。日本映画にありがちな、ドラマを避けて何でもありな「もののあわれ」に行ってしまうような、そんな惜しさもあった。

私はこの監督は前作の『団地』が大好きだ。その破壊力に比べると本作は、東京国際映画祭のコンペには出たけれど、私には「一回休み」のように見えた。みんなはどうだろうか、感想が聞きたい。

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