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2019年1月 6日 (日)

映画の後に、写真展2つ

久しぶりに恵比寿のガーデンシネマで映画を見た帰りに、東京都写真美術館で1月27日まで開催の展覧会を2つ見た。「日本の新進作家vol.15 小さいながらもたしかなこと」展と「マイケル・ケンナ写真展」で全くタイプの違う展覧会だった。

「日本の新進作家vol.15」展は、毎年開催されている若手のグループ展だが、別に仲良し写真家グループの作品でははなく、あくまで担当学芸員がある視点から選んだ5、6名の近作を展示している。

たぶん毎年見ているが、今年は特に違和感があった。自分と違う星の世界というか、何かコンセプチュアルなものがごつごつしている。最初にあった森栄喜は赤くプリントされた写真のなかに、たぶん友人や家族が写っている。同性愛者もいる。なぜ赤いのかはわからないが、倦怠感はある。

ミヤギフトシという私と同じ名前の写真家もまた同性愛者を撮っているようだ。暗くてよく見えない写真が多い。動画もあって、ボソボソと男性のつぶやきが聞こえる。河合智子はベルリンの王宮や工事現場を見せる。過去と現代の建築の混交にある種の文明論が見える。

石野郁和も自然と物を組み合わせた文明論。こちらは色彩に溢れている分、ポップでわかりやすい。一番わかりやすいのが細倉真弓で、地方都市のヤンキー集団を見せる。これは従来からあった写真のパターンだが、若者たちがどこかひ弱いのが昔と違うか。

見終わってチラシをよく読んだら、細倉真弓以外はみんな欧米の大学を出ていた。このコンセプト重視の写真はやはり日本の大学の写真学科からは出てこないタイプのものかと思った。

地下の展示室は、最近は外の団体に貸し出していて別料金。「マイケル・ケンナ展」を見たが、実を言うとこの写真家は知らなかった。こちらは従来型の写真美学がたっぷり。パリもアウシュヴィッツも日本の裸婦も、抒情的で静謐な一瞬を捉えている。

昔はこういう写真が大好きだったが、実は今回は退屈した。日本の若手のアヴァンギャルドな写真を見た後だからかもしれない。こちらの会場にはずいぶん観客がいたのにも驚いた。何冊も写真集を出していて人気らしい。

映画の後に写真展というのは、同じカメラを使ったフレームの芸術でも全く目指すところが違うので、いい気分転換になった。

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