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2019年2月26日 (火)

『アリータ』のアニメ顔について

『アリータ バトル・エンジェル』を見た。予告編で実写のなかにアニメ顔の少女が出てきたのが気になったし、「朝日」で石飛徳樹記者が、「20世紀フォックス」のマークが「26世紀フォックス」に変わると書いていたから興味が湧いた。冒頭で米メジャーのマークに異変があるのは大好きだ。

映画は、26世紀、「終末戦争」(英語でThe Fall)から300年後に「アイアンシティ」と呼ばれるスラム街で生きる人々を描く。空には「ザレム」と呼ばれるユートピア都市が浮かんでいる。そこには1本のチューブがつながっていて、スラム街からは物資が送られ、ザレムからは廃棄物が送られる。

未来都市が2つの世界に分かれるというのは、ドイツ映画『メトロポリス』(1929)以来のSFの定番。私が今思い出すだけでも『トータル・リコール』(1990年版より2012年版)や『エリジウム』(2013)など。ビルが折り重なったスラム街の感じは『レディ・プレイヤー1』を思い出させたし、遠くは『ブレードランナー』もある。

今回のアイアンシティも細部までかなりよくできている。一見未来的で実は汚く、あちこちが屑とゴミだらけの街で何とか人々は楽しく生きている。残念なのは人物のアップが多くて、街の様子が細かく写らないこと。

『アリータ』の新しい点は、医師のイド(クリストフ・ヴァルツ)が拾った美少女の頭に機械を組み合わせて作ったサイボーグのアリータを主人公とした点。彼女は目が大きい「アニメ顔」で、ほかの登場人物が全身サイボーグでも人間の顔なので目立つ。

つまりアニメと実写を混ぜたような映像だが、これが落ち着かない。普通のアニメだと全員アニメ顔なので気にならないが、一人だけアニメ顔だと絶えず「これはフィクション」と言われている気がする。

見どころは格闘競技「モーターボール」で、アリータが猛烈に強く、ザロメに行きたい人々の欲望を操って私欲を肥やすサイボーグたちを一網打尽にやっつける。確かにアニメ顔は非現実的で負ける気がしない。一方、普通の人間の顔の下に機械がくっついたサイボーグはいかにも不安定に見える。

「モーターボール」を見ながら、私は中学生の時に熱中した『ローラーボール』(1975)を思い出した。この映画を覚えている人はいるだろうか。それに比べたら、『アリータ』はずいぶん単純な構造に見えたが。

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コメント

ローラーボール懐かしいです。ローラーゲームというスポーツも、土曜の半ドンの帰り、テレビでよく見ていました。ロサンゼルスサンダーバード、ニューヨークボンバーズなどというチームがありました。その後、東京ボンバーズというチームが出来ましたが、その時は、既に私のローラーゲーム熱は冷めてました。どんなに身体がバラバラになっても、アリータ、どんなに高いところから落ちても死なないのに、一体どんなサスペンスを感じればよいのでしょうか。私には何が面白いのかさっぱり分かりませんでした。ROMAの海のシーンの方が何千倍もハラハラドキドキしました。あれがサスペンスというものでしょう。

投稿: 石飛徳樹 | 2019年2月26日 (火) 10時23分

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