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2019年2月 6日 (水)

『ぼけますから、よろしくお願いします。』に考える

友人からおもしろいと聞いていたが、ぜひ見たいと思ったのはこの映画のHPで信友直子監督が私と同じ年と知ったから。母の最期を見たばかりなので、急に親近感が湧いた。

ドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします』は、認知症が始まった87歳の母と耳が遠くなった95歳の父に、テレビ制作者の娘がカメラを向けたもの。いわゆる「老老介護」ものだが、それ以前に撮った映像や写真を加えて、両親の生涯や監督自身の生き方まで浮かびあがってくる。

2年前、母の言動がおかしいと思って医者の診断を受けると「アルツハイマー型認知症」と言われる。ふだんはまともに見えるが、膨大な洗濯物を前にして寝込んだり、いつの間にか転んで顔にけがをしていたりする。

父親は元気で、新聞を読んで切り抜いたり英語を勉強したりしている。しかし、母が動けなくなったのを見て、95歳にして初めて料理を作り、掃除や裁縫までする。さすがに腰は曲がり、すべてゆっくりだが、口は達者だ。

母は時おり「みんなが自分を邪魔にしている」とウツになり、朝起きられなかったりする。娘はヘルパーに来てもらったり、母をデイサービスに送り出したりするが、最初は母は他人を家に入れることも嫌がった。

さすがにテレビ番組を作っている娘だけに、ここぞといった映像を見せる。洗濯物の山の横で寝ている母をまたいで父がトイレに行ったり、スーパーの帰りに父が両手の荷物で動けなくなったり、母が泣きながら父の手を握ったり。「もう撮らないで」と母が怒ることもある。

見ていて「カメラを回すより、手伝えばいいのに」と思うこともある。それでも娘は現実を写すことを止めない。両親と自分のすべてをさらけ出しながらも、たぶん撮ることが親にとっても自分にとっても一番大事だと思っているのだろう。両親が、映像の仕事をしている娘を誇りに思っているのは、十分に伝わってくるし。

この映画はまだ両親が何とか自分たちで家で暮らしているところで終わる。これからたぶん病院や介護施設に入るだろうから、続編が楽しみ。

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コメント

荻原浩さんの「明日の記憶」を読みました。最後に、奥さん(枝実子)のことがわからないところでは涙がでました。
アルツハイマーについてのシンポジウムのTV番組を音なしでみました(ジムで走りながら)。アルツハイマーの人のビデオのとこだけわかり大変だと思いました。
会社の女性で「嵐」の大ファンがいて、活動休止ときいて、すぐにお祝いと書いて、お菓子を届けました。こういう細かな気遣いをするのが、ボケ防止によいのではと思っています。

投稿: jun | 2019年2月 6日 (水) 21時21分

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