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2019年2月20日 (水)

ニキビの話

昔、ニキビに悩んでいた。といっても中学生から高校生にかけてのこと。そんなことを考えたのは、最近入試の試験官をして受験生の顔をじっくり見ていたから。試験官の手元には、全員の顔写真がある。

その写真帳を持って、受験中に全員の顔と写真を突き合わせる。最近多いマスクの場合は、いちいちはずしてもらう。もともと写真自体を替え玉の写真にしていたらどうなのだろうとよく思うが、それは置いておく。

すると、男も女も何人に1人かは、頬や額にニキビが広がっている。中にはかなり重症な生徒もいる。たぶん悩んでいるだろうと勝手に想像する。

自分がニキビで思い出すのは中学3年生の夏休み。突然、父親が見つけてきた受験塾に通わされた。電車とバスで30分以上かかる場所にあったが、夏休みに毎日のように行った。

友達は1人もいない。そこでよくトイレで自分の顔を見た。額に大きなニキビがいくつもあって、これでは一生結婚はできないと思った。とにかく暑い。汗がニキビに染みるから、授業の合間にはいつもトイレで顔を洗った。強く洗うとニキビは潰れるが、洗わないと落ち着かなかった。

その塾があったのは久留米市という福岡県で3つ目に大きな市だったので、田舎町の私にとっては大都会だった。当然ながらお洒落で金持ちの中学生も多かった(ように当時は見えた)。みんな知り合いで仲良くしていた。ダサくてニキビ顔の私は、一生分くらいの孤独感を味わいながら、ひと夏をその塾で過ごした。

ニキビがなくなったのはいつ頃だろうか。実は全く記憶にない。高校生の後半に肝炎で入院してからは、栄養のバランスを考える食事になったので、自然となくなったのでは。大学生の頃には、ニキビがあったことも忘れていた。

それが入試の受験生を見て、急に思い出した。そこで「大丈夫だよ。じきなくなるよ」と勝手に沈黙のエールを送りながら、退屈な時間を過ごしている。

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