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2019年2月18日 (月)

「新・北斎展」など

六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーは、森美術館の1階下にある。美術館の方は現代美術を中心とした企画展が年に2、3本開催されるが、ギャラリーはいわば貸しスペース。漫画展もファッション展も借りる主催者が動員が見込めると思ったら、なんでもあり。

3月24日まで開催中の「新・北斎展」もその1つで、確かにかなりの混雑だった。なぜ「新」かというと新発見や日本初公開をたくさん見せるから。そもそも北斎の基本もわかっていない私にはあまり関係ないが、一昨年亡くなった永田生慈氏が島根県立美術館に寄贈した作品が東京で展示されるのは最初で最後らしい。

今回私が知った「基本」としては、北斎が何度も名前を変えていたこと。展覧会は名前ごとに「春朗」期、「宗理」期、「北斎」期、「戴斗」期、「為一」期、「画狂老人」「卍」期と分かれている。

私でも知っている《富岳三十六景》は何と「為一」(いいつ)期で、北斎ではない。この時期は61歳から75歳までで、ほかにも《江戸八景》など有名なものが多い。この期が出てくるのは展覧会の3分の2くらい終わってから。

ポスターなどに使われている《弘法大師修法図》(西新井大師蔵)はさらに後の「画狂老人」「卍」期で、怒る鬼とそれに吠える犬の間で祈り続ける空海を描いたもので永田氏の発見。この絵の部分を使ったポスターを遠くから見て鬼の足が男性器に見えていたが、全く違った。

素人目には、後半になればなるほどおもしろい。本邦初公開の《向日葵図》(シンシナティ美術館蔵)も最晩年の作品で、茎のうえに咲く一輪のヒマワリを描いた枯れた感じの絵だが、何とも味わい深い。ヒマワリと言えばゴッホだが、こちらは和風で黄色も淡い。

混雑する展覧会は、後半は疲れるのか比較的すいている。それもあったし、有名な絵も多かったので後半を中心に見たが、十分に楽しめた。小さい作品も多く出品数は500点近いが、展示替えが多いのでだいたい1度に200点くらいか。弘法大師もヒマワリも通期展示。

近くの東京都写真美術館で24日まで開催の「第11回恵比寿映像祭」も見たが、いつもながらこれについて語る言葉はない。一応映画・映像を専門にしているはずの私だが、少なくとも展示作品であっと驚くものはなかった。今さらレン・ライを誇らしく冒頭に見せられても困る。上映だと三宅唱や草野なつかやミディ・ジーの作品は見たいと思うが、時間があわない。

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