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2019年3月16日 (土)

とにかくうまい『グリーンブック』

アカデミー賞作品賞の『グリーンブック』をようやく劇場で見た。黒人の描き方が穏便すぎるという批判を読んで、がぜん見たくなった。見た感じは、そんなにむきになって攻撃するものではないのではというもの。

とにかくうまい。舞台は1962年、ニューヨークのナイトクラブの用心棒のトニー(ヴィゴ・モーテンセン)が暴力沙汰で解雇になり、職を求めて行った相手が黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)。モスクワで音楽の英才教育を受けたエリートで、彼の南部演奏旅行の運転手となる。

出だしから、シャーリーは優雅にガウンに身を包みカーネギーホールに住む姿を見せる。一方のトニーはイタリア移民で万事がさつだが、いい奴で妻を愛している。この全く対照的な2人が当時は黒人差別がまだ強い南部を演奏旅行する。

行く土地ごとに、シャーリーは黒人であるがゆえの差別を受ける。契約書に書いてあるスタンウェイのピアノがなかったり、ホールの付属のトイレやレストランを使えなかったり、夜中に車で移動していると警察に尋問を受けたり。

そのたびにシャーリーは怒りを抑えて優雅に対応しようとし、トニーは直情的に反応する。その対比がおもしろいが、お互いは次第に近づいてゆく。トニーが妻に手紙を書くのをシャーリーが手伝ったり、トニーは大好きなフライド・チキンのおいしさをシャーリーに教えたり。

ほぼ5分おきにトラブルが起きてちょっと緊張し、黒人差別の実態に腹がたつが、いつの間にかそれがユーモアと共に解消されてゆく。そして終盤はクリスマス映画として最後の最後まで楽しませる。うまい。

見た後にHPを見て、監督のピーター・ファレリーは『メリーに首ったけ』などの娯楽作を撮った職人監督と知って納得した。トニーを演じるヴィゴ・モーテンセンの好人物(かつてのアメリカにはたくさんいただろう)ぶりが、特に印象に残った。

ちなみに題名の「グリーンブック」は、南部で黒人が利用できるホテルやレストランを載せたガイド本。この映画を見て、実際にこういう本があったということを知るでもいい。

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