粗相の日々
最近、よく粗相をする。もちろん「おもらし」ではなくて、不注意による小さなミスのこと。昔から不器用でよくあちこちに頭をぶつけたり、転んだりした。忘れ物も多かった。
しかし最近それが蘇ってきたようだ。例えば、鍋を持っている時にふと気が緩んで、中のものをこぼしてしまうことが最近あった。あるいは、戸に頭をぶつける、缶詰を開けて指を傷つける、といったたぐい。
外出の時はひどい。毎日のように玄関を出てから、忘れ物に気づいて戻る。財布、手帳、書類、本など。同じ朝に2度戻ることさえある。あるいは5分ほどの地下鉄の駅に着いてから、取りに帰ることも。
「あれをカバンに入れないと」と思うが、次の瞬間には忘れて別のことを始める。そしてそのまま出かける。歩き始めると「あっ、忘れた」と思い出す。出張などの時には、忘れないように手帳に書き残すが、さすがに毎朝それはできないし。
こうなった理由はいくつか考えられる。一番は年齢。だけどこれを言ったら私より年上の方に「60前なのに何を言う」と怒られそうだ。次は不規則な生活。大学の教師は年に1/3くらいは自由な時間がある。授業のある時期も、私の場合は複数の先生と組んだ授業がいくつもあるので、同じ火曜だからと同じ時間に出るとは限らない。持って行くものも毎日違う。
昔、会社員を始めた頃に「これはラクだ」と思った記憶がある。毎日同じ時間に起きて、同じかばんを持って同じ時刻に出かけたら、自動的に体が動く。ほとんど機械みたいに。ところが今は、「今日は何だっけ」と毎日考えないといけない。
もう一つは、教え始めて十年たって慣れてきたこと。授業内容も学生や同僚とのコミュニケーションも余裕ができた。あまり準備していなくても、だいたいどうにかなる。だから全体に行き当たりばったりになる。
そんなこんなで、最近は危ない。ちょっと新たな生活の指針が必要かもしれない。転職でもしたらいいのだが、いまさらほかの仕事はできないし。
そういえば、母には小さい頃「あんたは勉強はできるばってん、ボケとる。よう何でん忘れらす」とよく言われた。例えば、百円札をもらってお使いに行く。すると店に着いた時には、その百円はどこかに消えていた、というたぐい。傘や弁当箱は本当にあちこちに忘れてきた。
少し自分について考え始めると、最後は母にたどりつく。
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