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2019年3月22日 (金)

『金子文子と朴烈』に考える

韓国のイ・ジュンイク監督『金子文子と朴烈』を劇場で見た。この監督は前作『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~』を昨年末の学生企画の映画祭「朝鮮半島と私たち」で上映していたので、気になっていた。前作は第二次世界大戦中が舞台だが、今回は少し前の関東大震災の頃。
前作は日本に留学するが日本人にいじめられて投獄される詩人の悲しい生き方を、彼を見守る友人や日本人と共にドラマチックに描いていた。今回は金子文子と朴烈の2人の愛とアナーキーな生き方を中心に、ユーモアを交えてテンポよく見せる。
冒頭に2人の出会いが写る。金子が朴烈の詩を読んで付きまとうが、朴はクールにかわす。それから2人はだんだん近づいて同棲を始め、朝鮮人の仲間たちと爆弾の計画を練る。そんなところに関東大震災が起き、朝鮮人の虐殺が始まって彼らは激怒する。後半は彼らを殺害したい内務大臣たちとの戦いで、大逆罪で逮捕されても2人は自由な発言をし、法廷では朝鮮服を着る。
彼らが恋に落ちる過程も、その後の熱愛もあまり描かれないので、前半はピンと来なかった。後半は裁判劇での2人の自分勝手な行動が見ていて楽しく、129分だが退屈しなかった。
全編日本が舞台の映画を、よくセットで作り込んだと思う。関東大震災のシーンもそれなりに迫力がある。金子文子を演じたチェ・ヒソを始めとして韓国の俳優の日本語も流暢。何人かは日本人が演じているが、大半が韓国人の俳優だからたいしたものだ。
気になったのは、これが韓国で235万人の動員を記録したということ。日本の官憲を徹底的に無視し、法廷で朝鮮服まで来る大胆さに韓国の大衆は喝采したのかもしれない。そして反日運動の旗手の朝鮮人の朴に日本人女性が惚れ込むという設定も、今の韓国にはウケるのだろう。征服する側の男が現地の女と仲良くなるというのは、映画のワンパターンなので。
韓国でのヒットは、何となく徴用工問題などと似た、韓国の日本に対する複雑な感情の上に立ったものかもしれない。ちなみに私が見た劇場は、平日の昼間とはいえ、5、6人だった。

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