大学教師10年目の感想
今日から授業が始まる。何度も書いたが、大学教師になってこの3月で丸十年。一言で言うと、移ってよかったと思う。給料は下がったが、まず暇が多い。通常は週に4日大学に行って、一日休み。夏休みは2か月、春休みはちょっと複雑だが足し引きすると1か月くらいある。
暇が多いから、原稿を書く。あるいはこのブログ自体、今の仕事でないと毎日書くのは無理。自宅で過ごす時間や映画を見る時間が増えたのは、本当に嬉しい。
仕事はどちらがおもしろいか、わからない。最初は、何といっても学生相手だから、張り合いがないと思った。みんなに意見を聞いても、普通は誰も手を挙げないし。
ところが自分たちで考えるように促すコツを覚えると、学生は意外とおもしろいことを言い、書く。そして4年の間にびっくりするくらい伸びる。この成長ぶりにはいつも驚く。ところが残念なのは、4年たつといなくなること。また1年生が希望に燃えてやってくる。
普通の仕事は社内外の人と大きな仕事をすると、その関係は一生ものになる。ところが学生は、4年たつとするりと消えてゆくから寂しい。それでも時々嬉しいのは卒業してからも訪ねてきたり、連絡をくれたりするところ。
最初の頃の教え子はもう30歳を超しているが、こちらは相変わらず「先生」。向こうはどんどん成熟して充実した生活に向かうが、こちらはだんだん年を取り、人生から降りてゆく。まさに関係が逆転してゆく感じで、これからが楽しみ。
最初は、この学生たちは本当に卒業後自活できるのかと心配だった。もともと芸術系の大学は呑気で「どうにかなる」と思っている学生が多いから。しかし卒業後に会ってみると、まさに「どうにかなっている」。映画関係もいれば全く違う畑で働く学生もいる。みんな元気にそれぞれの仕事の話をする。そんな彼らを見るのは悪くない。
とはいっても、あと7、8年もすると定年になる。そこまでこのブログは続けられるのだろうか。
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