« 『バイス』の描く悪人たち | トップページ | クリス・マルケルを見て »

2019年4月 9日 (火)

大学教師10年目の感想

今日から授業が始まる。何度も書いたが、大学教師になってこの3月で丸十年。一言で言うと、移ってよかったと思う。給料は下がったが、まず暇が多い。通常は週に4日大学に行って、一日休み。夏休みは2か月、春休みはちょっと複雑だが足し引きすると1か月くらいある。

暇が多いから、原稿を書く。あるいはこのブログ自体、今の仕事でないと毎日書くのは無理。自宅で過ごす時間や映画を見る時間が増えたのは、本当に嬉しい。

仕事はどちらがおもしろいか、わからない。最初は、何といっても学生相手だから、張り合いがないと思った。みんなに意見を聞いても、普通は誰も手を挙げないし。

ところが自分たちで考えるように促すコツを覚えると、学生は意外とおもしろいことを言い、書く。そして4年の間にびっくりするくらい伸びる。この成長ぶりにはいつも驚く。ところが残念なのは、4年たつといなくなること。また1年生が希望に燃えてやってくる。

普通の仕事は社内外の人と大きな仕事をすると、その関係は一生ものになる。ところが学生は、4年たつとするりと消えてゆくから寂しい。それでも時々嬉しいのは卒業してからも訪ねてきたり、連絡をくれたりするところ。

最初の頃の教え子はもう30歳を超しているが、こちらは相変わらず「先生」。向こうはどんどん成熟して充実した生活に向かうが、こちらはだんだん年を取り、人生から降りてゆく。まさに関係が逆転してゆく感じで、これからが楽しみ。

最初は、この学生たちは本当に卒業後自活できるのかと心配だった。もともと芸術系の大学は呑気で「どうにかなる」と思っている学生が多いから。しかし卒業後に会ってみると、まさに「どうにかなっている」。映画関係もいれば全く違う畑で働く学生もいる。みんな元気にそれぞれの仕事の話をする。そんな彼らを見るのは悪くない。

とはいっても、あと7、8年もすると定年になる。そこまでこのブログは続けられるのだろうか。

|

« 『バイス』の描く悪人たち | トップページ | クリス・マルケルを見て »

大学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『バイス』の描く悪人たち | トップページ | クリス・マルケルを見て »