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2019年4月30日 (火)

やはりおもしろいイタリア映画祭:その(2)

自分が選んでいた時もそうだったが、イタリアほどの映画の伝統のある国ならば、年に10本はあるレベル以上の映画がある。日本で映画館で公開されるかは別の話だが。今日書く3本もなかなか見ごたえがあった。

『私の娘よ』は1977年生まれのラウラ・ビスプリ監督の2本目の長編。サルデーニャ島で少女ヴットリアは両親とは幸せに暮らしているが、実の母はアルコール依存症で夜ごと酒場で男を漁るアンジェリカ(アルバ・ロルヴァケル)だったというもの。

育てた母のティナ(ヴァレリア・ゴリーノ)は、アンジェリカの希望を受けて母と言わずにヴィットリアに会わせる。ところがヴィットリアはアンジェリカを気に入り、ある時本当の母と知ってしまう。この3人の女たちの心の葛藤を、岩だらけのサルデーニャ島の大地を舞台に丹念に描く。

見ていて息が詰まるけど、女たちがそれぞれ自分を信じて荒れ地を歩いてゆく姿がいい。天才的なところはないが、こういう真面目なリアリズム映画はイタリア映画のある種の伝統だ。娼婦のような女を演じるアルバ・ロルヴァケルが抜群だが、劇場公開は難しいかも。

『輝ける青春』などで有名な1950年生まれのベテラン、マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督の『女性の名前』もまた女の物語。富裕層向けの介護施設で働き始めたニーナ(クリスティーナ・カポトンディ)は、マネージャーのセクハラに逢う。実はほかの女性たちも過去に被害を受けていたが、みな口をつむんでいた。

ニーナはセクハラを扱う団体に駆け込んでマネージャーを告訴するが、周囲は彼女をのけ者にする。ニーナは過去に被害にあった女性を訪ねて、新たな訴訟を起こす。

社会派の監督らしいテーマで撮影も編集も巧みだが、今回は少し一本調子過ぎかもしれない。現在世界的な話題になっている「ミー・トゥー」を扱った作品だが、そのうまい「社会派エンタメ」ぶりに、かつての今井正とか山本薩夫の映画を思い出した。

ルカ・ミニエーロ監督の『帰ってきたムッソリーニ』も社会派エンタメの1本。監督は一九六七年生まれの喜劇の名手だが、今回はドイツ映画『帰ってきたヒトラー』のリメイクで巧みにイタリアらしい要素を交えて作り上げた。これは9月公開なので、後日書く。

 

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