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2019年5月 1日 (水)

「クリムト展」を見る

先日、六本木の国立新美術館で「ウィーン・モダン クリムト、シーレへの道」展を見たので、今度は上野の東京都美術館で「クリムト ウィーンと日本1900」展を見た。結論から言うと、両方見るとクリムトがよくわかる、と思った。

確かにクリムト自体は「クリムト展」の方がたっぷり味わえる。女を黄金が埋め尽くす《ユディットⅠ》(1901)、3世代の女性が裸で抱き合う《女の三世代》(1905、ローマ国立近代美術館所蔵)、上下の金文字が美しい《ヌーダ・ヴェリタス》(1899)など、大画面の油彩が多いから。クリムトの油彩が25点揃うのは、日本で初めてらしい。

複製だが、34メートルの壁画《ベートベン・フリーズ》の実物大再現は迫力がある。クリムトがベートーベンの誇大妄想に触発されて、勝手放題に描いた感じか。《丘の見える庭の風景》(1916、宇都宮美術館所蔵)や《赤子(ゆりかご)》のようなびっしり細密画のように描き込んだ晩年の絵は、ゴッホに近い狂気を感じる。

しかし最初の方のクリムトの絵は、うまいけれど彼らしさは出ていない。1880年代としては、フランスに大きく遅れている感じ。それが90年代後半になって狂った装飾が出てくるのは98年にウィーン分離派が始まるからなのか。

ウィーン分離派に関しては「ウィーン・モダン」展の方がよくわかる。第1回のポスターも、検閲前と後が展示されていて、「クリムト展」より親切。オットー・ワーグナーの建築やグラフィック・デザインも「ウィーン・モダン」展ではきちんと展示してあるので、ウィーン分離派が絵画だけではなく、建築やデザインと密接に結びついていることが明白になる。

いずれにしても、分離派のポスターはどちらの展覧会にも出ている。ポスターだから何点もあるとはいえ、同時期に同じ東京で別の美術館に並んでいるのはちょっと異様ではある。

カール・モルなど分離派メンバーの絵はどちらの展覧会にもあるが、「クリムト展」では「風景画」という区分があって興味深い。クリムトと言えば、女性の絵だと思っていたから。

やはり、両方見るとウィーン世紀末とクリムトがよくわかります、というところ。さて、昨日の「朝日」夕刊を見たら、この2つの展覧会に加えて、目黒区美術館でも「京都国立近代美術館所蔵 世紀末ウィーンのグラフィック」が開催されている。見に行こう。連休は午後3時頃まで原稿を書いて、それから出かける毎日。

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