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2019年4月16日 (火)

『ドント・ウォーリー』の快さ

5月3日公開のガス・ヴァン・サント監督『ドント・ウォーリー』を見た。これが、最初は暗いしわかりにくいのに、見ているうちにどんどん快くなるという不思議な映画だった。さすが、GVS(ガス・ヴァン・サント)である。

映画は禁酒会から始まる。1人の指導者のもとに、10人ほどが集まって体験を語り合うもので、禁酒に限らずアメリカ映画にはこうしたグループセラピーがよく出てくる。私は個人的にそれを見るのがあまり好きでない。欧米的な自己顕示欲がモロに出るから。

ホアキン・フェニックス演じるジョン・キャラハンは車椅子に乗って、自分の体験を語り始める。そしてそれは回想につながる。あるいは時間がたってから、大勢の前で車椅子の著名な漫画家として経験を語る場面にもリンクする。つまり最初から立ち直った姿を見せて、映画はそこにたどりつく過程を語る。

そのせいか、見ていて目まぐるしい。禁酒会の語りがそのまま講演会になったり、過去の回想が順不同に出てくるし、映像が上下や左右に移動したりもする。嫌いなグループセラピーということもあり、映像もすぐに変わるので最初は少し眠くなったくらい。

キャラハンは、完全なアル中だった。酔っぱらったキャラハンは同じくらい泥酔の友人が運転する車に乗って、事故にあう。それから病院で手足がまともに動かせない体になった自分に気づく。リハビリが始まるが、一生治らないことがわかる。

それから自宅に移って住み込みの介護人とケンカしながら暮らす。再び酒におぼれるが、禁酒会に通い出し、自分を捨てた母を探すうちに、だんだんと前向きになってくる。そして震える手にマジックペンを持って絵を描き始める。

それからは見ていてどんどん楽しくなる。漫画が地元の大学の新聞に連載されるようになったり、リハビリ時代に唯一気を許したアヌー(ルーニー・マーラ)と再会して恋人同士になったり。それから、過去にお世話になった人々に会いに行く。

終盤に交通事故を起こした友人に会いに行くあたりで、涙が出てしまった。見終わってから、実は巧みに構成された脚本だとうなった。やはりGVSはすべておもしろい。

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