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2019年5月10日 (金)

マッチョ系レストランの隆盛を憂う

私が教える大学の近くに「野郎ラーメン」というのがある。店名が毛書体のなぐり書きで、「腹が減ったら野郎に来い!」とも書かれている。もちろん客は男性ばかりで、かならず「ガテン系」と言うのか、工事現場の服装の男たちがいる。

「野郎ラーメン」には一度だけ行ってみたが、要するにチャーシューや野菜がドカドカと乱暴に盛られている。味がどうこうよりも、その暴力的な感じがある種の男性=野郎にはウケるのかもしれない。

「俺流塩ラーメン」と言う名のチェーンもある。こちらは入ったことはないが、見た目は「野郎ラーメン」よりソフトな感じ。それでも写真で「俺流男盛りラーメン」は唐揚げまで上に乗っていて、やはり粗暴さがウリか。

こういう「男」を前面に出した店の流行は、2011年にできた「俺のイタリアン」からかもしれない。「俺のフレンチ」とか、最近は「俺のBakery」というのも見た。この「俺の」シリーズを展開している経営者は「ブックオフ」を始めた人だというのは、どこかのインタビューで読んだ。つまりは相当のアイデアマン。会社名は「俺の株式会社」というのに笑った。

そもそも私は「俺」という言葉が好きではない。「俺様」な感じが。まして「俺のフレンチ」のように飲食店に使われると、「あっ、そう、じゃあ私は関係ない」と思ってしまう。「どうだ」感というか、「オラオラ」系というか、パンチパーマの田舎のあんちゃんに「食べてみろ、うまいぞ、わかるか」と大声でドヤされているような気分になる。

恵比寿のガーデンプレイスに映画を見に行った帰りにパンを買おうと思ったら、「サンジェルマン」が「俺のBakery」になっていた。覗いてみたら、食パンをでかい2斤で千円で売るのに行列ができていたので、慌てて退散した。

なんで21世紀になって、日本ではこんなマッチョが流行るのか。こういう店が好きなのは、きっと軍隊が好きだったり、年号が変わって嬉しがって皇居に行ったり、日本は外国人もびっくりのすばらしい国だと言ったりするのではないか。勝手な想像だが。

時々、普通のラーメン屋でも店員が威張っている店がある。おおむね作務衣を着て「そっちじゃなくて、こっちに並んで!」「注文はこっちが聞いてから言って」。怒鳴られて喜ぶ客がいる。私はそんな店には二度と行かない。「野郎」「俺流」「俺の」はそんなイメージと重なってしまう。

もちろん行かなければいいのだが、店の名前だけで抗議したくなる。街を歩いていて恥ずかしい。女性は食べてはいけないのか。女の料理人はどうなるのだ。この話は誰ともしたことがないが、同じ考えの人もいると信じている。

 

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