ユスターシュに続き、ガレルに浸る
この連休はジャン・ユスターシュの全作品上映があったが、ポスト・ヌーヴェルヴァーグの監督として並び称せられるフィリップ・ガレルの未公開作品も上映された。調べてみるとガレルは1948年生まれでユスターシュより10歳下だが、ガレルはデビューが早いので2人の活動時期は重なっている。
今回見たのは『ギターはもう聞こえない』(1991)で、実は公開当時パリで見ていた。その後、亡くなった字幕翻訳家の寺尾次郎さんからビデオをダビングさせてもらったが、見ていない。当時はネットがなかったのでパリに行くと未公開映画のVHSを買い、寺尾さんと融通し合っていた。
前に見た時は本当に好きだったが、28年もたった今はどうだろうか。最初はガレル特有の饒舌なセリフが気にさわった。そもそも場所も状況も何の説明もないのでわかりにくい。しかし推理を働かせながら想像してゆくと、だんだん身に染みてくる。見終わって、おやじが過去を振り返ったような映画だとわかり、愛おしくなった。
話は例によってダメンズなのにもてる男の話。ジェラール(ブノワ・レジャン)はドイツ人のマリアンヌ(ヨハンナ・テア・ステーゲ)の恋人で、もう1組のマルタン(ヤン・コレット)とローラ(ミレイユ・ペリエ)と一緒にイタリアの海辺にいる。マリアンヌはジェラールとローラの間を疑う。
場面は変わって、マリアンヌはフランスの田舎で自分の子供を前の男の母親に預けている。そしてジェラールのパリの暗い部屋の二人。次には、ジェラールはマリアンヌが去ったことをマルタンに話す。「郊外のチンピラのような男が「おい、おっさん」と荷物を取りに来たんだ。ひどい」。ジェラールは年上の既婚のリンダと関係を始める。
マリアンヌが戻ってきて、二人はヘロインを始める。リンダがやってくると、ジェラールは「3人で寝よう」と提案して2人に嫌われる。1人になったジェラールはローラと会うが、関係は続かない。ある日突然現れたアリーヌと住み始め、子供ができる。ジェラールには若い恋人のアドリエンヌができたが、ある時マリアンヌの死のニュースを聞いて泣き崩れる。
マルタンはジェラールに言う。「昔は手を伸ばせば何でも手に入ると思っていた。今は逆だ。手元にあるものを必死で抱えないと何もなくなってしまう」
何とかあらすじを書いたが、とにかくシーンの転換が早い。ローラとの再会は彼女の動く足が何秒か見えて、顔がちらりと見えただけ。アリーヌと仲良くなるのも、アリーヌが友人の紹介といきなり部屋にやってきて、風呂に体を伸ばすジェラールにキスをする。アドリエンヌとは一瞬紹介された時に親密な視線を交わし、すぐに2人で再会すると抱き合っている。
すべては過ぎ去る。そんな喪失感いっぱいの映画は、おやじの年齢になると身に沁みる。
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コメント
ミレイユ・ペリエ、大好きな女優です。最近見かけないような。
投稿: 石飛徳樹 | 2019年5月 9日 (木) 08時54分