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2019年5月 6日 (月)

紙ものの展覧会:トムとジェリーからウィーン分離派へ

フェイスブックで岡田秀則さんが触れていたので、銀座松屋に「トムとジェリー展」を見に行った。アニメの「トムとジェリー」は小さい頃にテレビでよく見た。展覧会場に入ると主題歌が聞こえてきて、一挙に少年時代へ逆戻りした気分に。

「トムとジェリー なかよくけんかしな/トム トム トム ニャーゴ/ジェリー ジェリー ジェリー チュー/ネコにネズミがかみついた/あべこべだ ネコたたき/ネズミだっていきものさ/ネコだっていきものさ」。「ジェリー ジェリー」の後の「チュウ」という高音が好きだった。

これは今でもすべて歌えるくらい暗記している。ネットを見ると1964年から66年までTBS系列で全国放映していたといいうが、福岡は当時は民放はテレ東系がなかったこともあって、よく1、2年遅れた。だから、4歳から6歳の頃にたぶん毎日見ていた。それからも放映されていたらしいが、それは見ていない。

当時は、作ったのがアメリカのウィリアム・ハンナとジョゼフ・バーベラのコンビだったことも、[トムとジェリー」が本国では1940年に生まれ、それがMGM(ライオンが吠えるやつ)制作だったことも知らなかった。もちろん今はMGMはなく、今回の展覧会はワーナーブラザーズのアーカイブから約250点の原画や資料や映像を展示した極めてハイレベルのもの。

日本には映画や映像の博物館がほとんどないので、こういう展覧会はめったにない貴重なもの。百貨店が開催を決めたのはグッズが売れるからだろうけど、本来なら美術館、博物館レベルの企画。作り手のハンナ=バーバラはほかにもたくさん作っていて、日本でも放映されていたと知った。「大魔王シャザーン」、「アストロ人間ジャンボ」、「チキチキマシン猛レース」とか懐かしい。今日までの開催。

同じような紙を中心とした展覧会を目黒区美術館で見た。「朝日」で「クリムト展」と「ウィーン・モダン」展とともに紹介していた「世紀末ウィーンのグラフィック」展。京都国立近代美術館の所蔵品で「デザインそして生活の刷新に向けて」が副題。

たぶんこれだけ見るとありがたみがわからないかもしれない。クリムトの華やかで退廃的な絵や彼が中心になったウィーン分離派の作品やオットー・ワーグナーの建築模型を見た後だと、ここに展示されている300点を超すポスターや雑誌や本やイラストや絵葉書の重要性がよくわかる。

というより、これらのグラフィックがクリムトの絵の基本にある。ほかの2つの展覧会に比べると地味だが、ぜひこちらも見て欲しい。ここに展示された装飾的なイラストやデザインは、日本の着物用の型紙から着想を得ているのは明らか。数年前に三菱一号館美術館で開催された「KATAGAMI Style」展では、日本から19世紀後半に大量に輸出された型紙の影響の大きさを見せていた。

ジャポニスムもアール・ヌーヴォーもアーツ&クラフトもウィーン分離派もユーゲント・シュティルも、浮世絵以上に型紙の影響が大きいと改めて思う。6月9日まで。

 

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