« 『さらば愛しきアウトロー』のレッドフォード | トップページ | 「新聞の映画評」評:『新聞記者』 »

2019年7月 1日 (月)

『平成史』を読んだわけ:その(2)

『平成史』の中で印象に残った部分をアトランダムに書き留める。佐藤優氏が作家として仕事をするうえで学んだのは、井上ひさしと竹村健一という。リベラルの井上と保守の竹村の異色の組み合わせが興味深い。

井上の教えは、まずホームグラウンドとなる出版社を作り、若手、同世代、幹部と会社ごとに3世代の編集者と付き合うこと。常にやりたい仕事のリストを100個作っておき、半年ごとに並べ替える。「そのうち1割か2割しか実現できないだろうけど、リスト作りは大切だと教えていただいた」。私もせめて10個くらいリストを作るかな。

竹村から学んだのは以下の通り。まずテレビに気を付けること。コマーシャルに出ないこと。人と会うのに、先方が用がある時は出向かないこと。こちらが用がある場合は相手の指定する場所へ行く。身の引き方にも気をつけること。

佐藤「消費税10%への引き上げに言及したり、TPPの協議開始を表明したりしたのは菅政権でしょう。安倍政権のアジェンダは菅政権下で作られた」。片山「菅直人と安倍晋三は両極にいる人として見られていますが、政策はほとんど同じ」。これには驚いた。

安倍首相について、佐藤は「いい人で情に篤いからお友達を大切にして意見に耳を傾ける」「安倍首相は実証性と客観性を無視して、自分が欲するように世界を理解する反知性主義者です」「彼に国家戦略や安全保障、経済政策を求めるのは、魚屋にアスパラガスを買いに行くのと一緒」

オリンピックについて、佐藤「オリンピックという大きなネタを投下して、3・11を忘れさせようとしたわけでしょう」。片山「オリンピック招致は、あからさまな東北切り捨てのように感じられました」。佐藤「今回のオリンピックはトヨタを始めとする優良企業が関わろうとしなかった。いわば筋悪物件になってしまった」「国民国家の崩壊が世界を混乱させているのに、国家で競い合うのもバカげた話ですね」。個人的には、オリンピックは今からでもやめて欲しい。

SEALDsについて佐藤は「彼らの活動は新しい形の進学もしくは就活程度にしか見ていなかったんですよ」。片山「SEALDsの学生たちに自分たちの満たされぬ思いを託した大人たちは多い。でも大人たちの大半は無責任です」。私も実は少し期待したが、彼等の活動は何にも繋がらなかった。

佐藤「ゴーンの逮捕は、02年の鈴木宗男事件に似ています」「東京拘置所から出てきたゴーンが釣り船で海に出て、沖合いでクルーザーにのりかえる。そして公海に出てしまったら国際法上追いかけられない」。今後ありうるかも。

後書きで佐藤は自分が02年5月14日から東京拘置所に512日拘留された時のことを述べる。連合赤軍の坂口弘の隣の部屋にいた時の描写がすさまじい。これは読んでもらうしかない。

|

« 『さらば愛しきアウトロー』のレッドフォード | トップページ | 「新聞の映画評」評:『新聞記者』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『さらば愛しきアウトロー』のレッドフォード | トップページ | 「新聞の映画評」評:『新聞記者』 »