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2019年6月 9日 (日)

参加型の展覧会は苦手

「チームラボ」に今一つ没入できなかったのは、たぶん私が「参加型」が苦手だからだと思う。私にとって美術はあくまで離れてみるのであって、触ったり靴を脱いだり、見る者の行動を必要とするのは好きではない。

私の専門は一応映画なので、やはり何もせずにじっとして見ているのに慣れているのだろう。美術は映画と違って歩いて見て回るが、それが限度。触ったり、なにか書いたり、登ったりするのはできたら避けたい。参加型でまだ許せるのは、ジェームス・タレルのように、しばらく見ていると、作品が違って見えるようなたぐいか。それでも作品を見るのに待つのは嫌いだ。

考えてみたら、参加型の作品も、もし待つ必要がなかったら、案外好きかもしれない。「チームラボ ボーダレス」は待つ作品がいくつかあった。そのうえ、「ランプの森」のように時間がたったら追い出されるのはかなり不愉快。要は、展覧会は自分の時間に合わせて自由に見たい。映画は完全に時間を拘束されるのだけど。

そんなことを考えていたら、久しぶりに苦手な美術展を見た。サントリー美術館で6月2日まで開催された「information or inspiration 左脳と右脳で楽しむ日本の美」展。作品はたったの22点で、江戸切子や煙草盆など日本の江戸時代を中心とした同館が所蔵する一級の工芸が並ぶ。

問題は、それを2通りの道で見ること。全体が真っ白の壁や床の「information」には、壁に解説や図解がびっしりと書かれている。観客がみんなそれを読もうと並んでいて、待つことが嫌いな私は遠くからざっと見る。本来はそこでいったん出て下の3階に行き、また白の「information」に進むように書かれていたが、そんな「指示」が嫌な私は4階の黒の「inspiration」を見た。

こちらは文字がないので混まないが、作品を覗くタイプが多くてよく見えない。そのために並ぶ。白も黒も同じ作品を壁で仕切って別の面から見せているので、極めて見にくい。そして3階に降りて、今度は黒から白を見たが、作品がよく見えないのは同じ。3階の広い踊り場に音楽が聞こえ、傘を持つと影が床に写る仕組みがあったが、「チームラボ」の後では子供だましに見えた。

全部で15分で出てしまった。最終日の1週間前の日曜だったせいか、観客は若者がそれなりにいたが、いつものこの美術館にいる年配の女性はほぼいない。若者たちはスマホで写真ばかり撮っていたが、若い人が多いのは「インスタ映え」なのかもしれない。白が左脳で黒が右脳と書いてあったが、そんな区分に何の意味があるのか。

「デザインオフィスnendo代表・佐藤オオキさんが提案する、左脳的なアプローチ、右脳的な感じ方の双方で、日本の美術を楽しんでみる展覧会です」とチラシに書かれている。これは厳密には「参加型」ではないが、強引に見方を押し付ける感じがするし、みんな並ぶ仕組みだし、作品が見にくいしで、よくわからなかった。

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