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2019年6月 5日 (水)

チームラボを見る

最近、「チームラボ」という名前をよく聞く。最近はその代表の人物が「アエラ」の表紙にもなっていたが、要は光と音と映像を使ったインスタレーションを作る集団だ。1年ほど前に豊洲とお台場で常設の会場ができたし、去年のフランスの日本年ではパリでも展示をしていた。

私は今は仕事として映画を教えているが、長年美術展の企画をしていたこともあり、映像を使ったアートや展示はできるだけ見ることにしている。チームラボの作品は、3、4年前に森美術館の「六本木クロッシング」展のなかで一部屋の展示を見たことがあった。

お台場の「チームラボ ボーダレス」は1年ほど前にオープンしたが、内覧会に行った友人から「見るべき」と言われたことがあったので、豊洲の「チームラボ プラネッツ」よりもそちらを選んだ。「ボーダレス」は見る順番が決まっておらず、自由に作品の部屋を出入りできるという構造も興味があった。

中に入ると、暗闇に輝く花や蝶の光の動きに目を奪われる。全体の配置図はどこにもないので、小部屋に入ってみたり、小さな道に進んだり、人が並んでいる列に並んだりする。最初に見た目玉作品は奥にある滝の部屋で、床に傾斜があって岩のように突起があり、そこに立ったり座ったりすると光の水が滝のように流れる。

みんながスマホ写真を撮っているのが「クリスタルワールド」で、上からLEDの細い線が無数に垂れ下がり、光の渦を作る中を細い道を進む。入場に20分ほど待ったのが、「ランプの森」という和風の空間。上からぶら下がるランプの色が人の動きに応じてどんどん変わるが、たった1分ほどで追い出されて残念。「地形の記憶」は高低のある空間に蓮の葉のようなものがあちこちに立っていて、妙に哲学的。

3階の「運動の森」はトランポリンがあったり、山を登ったり。「エアリアルクライミング」はロープで吊られた不安定な光る棒が連結されていて、そこを歩くと足元が揺らいで怖い。その階には「幻茶亭」というカフェがあって、透明な容器に入ったお茶の葉を買って席に案内されると、容器と湯が出てきてお茶が光り出す。「未来の遊園地」はどちらかというと子供向けで、自分が描いた絵が床や天井に舞う。

全体で2時間半ほどで、40分待ちと言われた「浮遊する巣」以外はだいたい見たと思う。3時間近く十分に五感を楽しんだし、運動になったのでこれで3200円は高くない。だけど次にほかのチームラボの展示を見たいかというと、どうだろうか。

「アエラ」によればチームラボは「アーティストやエンジニア、建築家、CGアニメーター、数学者など専門職を持った約650人の集団」という。自然を人工的に表現し、人間の動きに反応し、映像と光と音に対する感覚的な快感を感じさせるけれど、それ以上の哲学的な追及は感じなかった。

これなら私は同じ光を使った作家でも、オラファー・エリアソンやジェームス・タレルのような現代アートの作品を見る方が好きだ。五感の快感とコンセプトの知的刺激は違う。観客はディズニーランドよりも年齢層は少し高いし、もっと静か。たぶん1/3は外国人。街を歩くとアジアの観光客が目立つが、ここでは欧米観光客の数が多かった。

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