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2019年6月30日 (日)

『さらば愛しきアウトロー』のレッドフォード

ロバート・レッドフォードといえば、私が小学生から中学生の頃はアメリカ映画でポール・ニューマンと共に最も有名な俳優だった。7月12日公開の『さらば愛しきアウトロー』は彼の最後の主演作というので、試写を見に行った。

そのうえ、監督は『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』の若き才人、デヴィッド・ロウリー。どんな工夫を凝らすかと思っていたら、あえて力を抜いてレッドフォードの魅力を引き立てた静かな映画だった。

レッドフォードが演じるのは、実在の銀行強盗のフォーレスト・タッカー。エレガントに背広を着こなし、拳銃を見せるだけで銀行から大金を奪い取って車に乗って優雅に逃げる。運転するトラックがエンストして困っている女性、ジョエル(シシー・スペイセク)を助けているうちに、捜査を逃れる。

レッドフォードは今年で83歳だけに、さすがにヨタヨタしているが、実にチャーミング。ダニー・グローバーとトム・ウェイツが演じる老齢の仲間も同じように魅力たっぷりで、彼らと淡々と強盗を重ねる。それを追う刑事のジョン(ケイシー・アフレック)は妻子を大事にする男だが、だんだんと近づいてゆく。

強盗のタッカーと刑事ジョンの不思議な友情のような繋がりもいい。ジョンは決して人を殺さないタッカーのやり方に惹かれてゆく。事件が大きくなってFBIが担当するためジョンは担当を外されるが、こっそりと追い続ける。タッカーはあえてジョンの前に姿を現す。

映画のなかだけでも短い間に十件以上の銀行強盗が写り、16回も刑務所を脱獄した様子も紹介される。17回目は脱獄せずに刑を追えて、迎えに来たジョエルと生活を始まるが、そこにはケッサクな結末が用意されている。

まるでレッドフォードの役者人生を見ているような、見終わると爽やかな気持ちにさせられる佳作。

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