初めてソウルに行く:その(4)
今回のソウルは初めてだったので、基本を押さえようと思った。3泊したが、座談会などもあるので、自由な時間は実質的に1日半。何が「基本」かわからないが、まずは5つある古宮のうち一番大きな景福宮(キョンボックン)に行った。次に行ったのは南大門市場。
その近くで昼食をして、サムスンのリウム美術館に行った。これはなかなか遠かったが、それからさらに別方向にある韓国映像資料院へ。翌日は国立中央博物館に行ってそこで昼食を取り、その後は東大門デザインセンターへ。私は買物に興味はないので、博物館、美術館が中心。韓国映像資料院は映画研究者には一応聖地なので、行かねばならない。
本来は日本と同じように梅雨の時期のはずだったが、なぜか最高気温36度の真夏の2日間だった。半ズボン、Tシャツでもとにかく暑い。李氏朝鮮の王宮である景福宮はちょうど京都御所のような感じで、やたらに大きい。大きな門がいくつもいくつもあって、歩いていると頭がくらくらしてくる。ちょうど李王朝の服装の守衛兵の交代儀式もあった。
かつては正面に朝鮮総督府があり、それが戦後は国立中央博物館になったはずだが、残念ながら90年代に壊されて建築は残っていない。もともとかつての王宮は豊臣秀吉の文禄の役で破壊されたわけで、ここはこの国にとって屈辱の場所かもしれない。いずれにしてもほとんどの建物は戦後に復元されたもので新しい。
今回の旅はあえてタクシーに乗らず、TマネーというJRのSUICAのようなカードを買って地下鉄やバスに乗ったが、疲れていたので南大門市場まではタクシーに。ここは迷路のようなバザールで、雑貨や衣類などを驚異的な安値で売っている。私は羽田空港で壊れた眼鏡のつるや短い靴下など必需品をゲット。
あまりに雑多な世界に目が舞い、昼食はすぐそばの新世界百貨店のレストランへ。ここは一挙に客層が変わる。韓国料理の店に行ったが、付近の会社員やOLが数人単位で来ていた。値段は昼定食でも1500円から3000円ほどで高めだが、いい身なりの彼らは気にしていない風だ。豆を煮たスープのチョングッチャンや豚肉を蒸したポッサムが繊細でおいしかった。
私は韓国の留学生にもらった1930年代の「京城遊覧案内図」のコピーを手にしていた。さて清水宏のドキュメンタリー『京城』にも出てくる京城三越はどこかと現在の地図と比べるが、どうも自分がいる新世界百貨店の場所のようで、複雑な気持ちになった。朝鮮総督府もそうだが、当時の面影はどこにもない。
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