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2019年7月15日 (月)

「高畑勲展」から日本画へ

東京国立近代美術館で始まったばかりの「高畑勲展」を見た。10月6日までの開催だが、自宅から近いので原稿で行き詰った週末にふいと見に行った。いくらジブリとは言っても、高畑勲ではそれほど観客はいないだろうと思ったが、大間違い。

始まったばかりなのに、会場は若い男女から中年までかなり混んでいる。さすがに70歳以上はいない感じだが、私のような50代ならかなりいる。中学生や高校生もいるのに驚く。

東京都現代美術館や国立新美術館はともかく、東京国立近代美術館での漫画やアニメの展覧会は珍しい。たぶん30年ほど前の手塚治虫展以来ではないか。さてどう見せるかと期待したが、意外にオーソドックスだった。つまりは絵コンテ、原画、メモ、映像の一部、写真などである。

しかしそれがかなり凝っている。例えば最初のあたりに高畑が東映アニメーションで座っていたような机とその周りが展示されていて、まわりに当時の写真が拡大されている。ちょうどNHK朝ドラの「なつぞら」で描かれる世界(見ていないが)なので、観客も多いのだろう。

おもしろかったのは、1960年前後に書かれた「ぼくらのかぐや姫」という10ページほどの制作メモが公開されていたこと。つまり『かぐや姫の物語』は50年も前から構想されていたことになる。

これは文字ばかりだが、もともと高畑は自分で絵を描かないことで知られる。それでは何を展示するかと言えば、関わったアニメーターや美術監督の絵コンテを作品ごとに展示している。宮崎駿、小田部羊一、近藤喜文、男鹿和雄などの絵コンテや背景画、レイアウトなどが並ぶ。そこに高畑の手書きの企画ノートが加わる。

個人的には、『おもひでぽろぽろ』以降の日本を描いたものが気になる。とりわけ『ホーホケキョ となりの山田くん』から『かぐや姫の物語』にかけての省略技法というのか、あえて描かないで余白を残す画面に惹かれる。『かぐや姫の物語』については、できあがった作品も原画もかなりたっぷり見せていて満足した。

見終わって4階に行き、常設展を軽く見た。最初に尾竹国観菊池契月の屏風絵が現れたが、それらはすべて『かぐや姫の物語』とつながっているようにしか見えない。後年日本美術に近づいた高畑勲の目を通じて、日本近代美術史を見ているような気分になった。こちらはガラガラだが、高畑展を見たら無料で見られるのにもったいない。

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