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2019年7月24日 (水)

誰が保守的なのか

また自民党が勝った。とはいえ、自民は参院で単独過半数を割り、自民、公明プラス維新ほかの改憲勢力が3分の2に届かなかった。自民はそれでも勝ったと言い、野党はそうではないと言う。

いずれにしても、あれほどの不祥事を繰り返した自民党が投票者の半分近くに支持されたのは間違いない。今回の選挙結果で一番驚いたのは、32議席あった1人区で野党連合が10人当選したこと。

1人区はおおむね人口の少ない県が多い。野党連合が勝った10の県は、岩手、宮城、秋田、山形、新潟、長野、滋賀、愛媛、大分、沖縄。地域的には東北、北陸・甲信越の寒い地域が6県。従来、東北のイメージは農業や漁業などの第一次産業の自営業が中心で、「保守王国」と呼ばれた。

これが立憲、国民、共産などが野党で統一候補を推すと、東北6県のうち4県で自民党が負けたのだからびっくりだ。一方で東京は6議席のうち自民、公明、維新の改憲勢力が4、神奈川は4議席のうち改憲が3、大阪に至っては4議席全員、兵庫も3議席全員、福岡と北海道は3議席のうち2。

つまり従来から野党が強いと言われた都市部では、今や与党が強いということになる。最近の調査では安倍首相を一番支持するのは20代という数字があった。つまり大都会の若い会社員や会社員予備軍は、今の格差社会でいいと思う。都会で暮らすことで、何とか格差の少しでも上の階層にしがみつきたいのか。

最近読んだ文章で驚いたのは、小熊英二氏が「正社員は減っていない」と書いていたことだ。総務省の調査によれば、1984年の調査で正社員は3333万人、2016年には3338万人。非正規は同じ時期に604万人から2013万人に激増している。全労働者の15%から38%になった。

非正規労働者が増えた分、減っていたのは実は自営業だった。1484万人が684万人に激増している。「考えてみれば、この三〇年間、東京中心部の風景は変わっていない」「だが地方都市や農村部では、風景は激変している。駅前商店街がシャッター街になり、街道沿いに巨大なショッピングモールや介護施設、宅配便の物流倉庫などが増えた。そして自営業で働いていた人々が、モールや倉庫で働くようになった」

つまり、今回の1人区の勝利は、自営業をやめ(させられ)て非正規になった人々の反乱ではないか。そう考えると、日本の保守とリベラルをめぐる地域の構造が逆転してしまったことに気づく。もし野党が小選挙区の衆院でも統一候補を出せば、この流れはもっと強くなるだろう。今朝はそんなことを考えた。それにしても、現状維持を選ぶ都会に生きる我々は情けない。

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コメント

私も全く同じことを思いました。
ところで国会の定数是正訴訟が頻繁に起こってますよね。一極集中の東京の人たちの1票よりも、過疎地を支える人たちの1票が少しくらい重くなっていても、それはむしろ平等な配分ではないかと感じております。

投稿: 石飛徳樹 | 2019年7月24日 (水) 13時03分

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