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2019年7月18日 (木)

初めてソウルに行く:その(5)

もう帰国して10日になるのに、まだソウルのことばかり書いている。それくらい、心に残る旅だった。韓国という国は、今後ずっと自分の中で引きずってゆく気がする。今日は美術館、博物館について書きたい。

ソウルは釜山と違って、公共機関には韓国語、英語、中国語、日本語の表示があるから、だいたいわかる。サムスンのリウム美術館は2004年にできた時から話題になっていたので、行ってみたいと思った。昼食を取った新世界百貨店からグーグルマップで見ると、バスに乗れば近そうだ。停留所を見つけるとすぐにバスが来て15分ほどでグランドハイアット・ホテル前。

そこは高級住宅やお洒落な店の並ぶ地区だったが、めざす美術館はグランドハイアットの裏手にあたる。グーグルマップだとホテルの敷地を突っ切れるようだったが、それは無理でホテルの周りをぐるりと10分ほど歩く。坂を下りたところに忽然と現代建築の連なるリウム美術館が現れた。入口階段には宮島達男のデジタルの数字が点滅する。

最初はジャン・ヌーヴェル建築の現代美術館を見た。ここにはジャコメッティやマーク・ロスコ、フランシス・ベーコンからアンディ・ウォーホールらの西洋の現代美術のスターたちの間に韓国の現代美術作家の作品が展示されている。日本の作家がゼロだったことも含めて、韓国の現代美術が欧米に並ぶことを見せようとしている気がした。

マリオ・ボッタ建築の古美術館は、なんといっても青磁や白磁がすごい。照明や展示も凝っている。書画になると、日本人が中国風に描いたもののようで違いはわからなかった。たまに現代美術作品が置いてあるのもうまい。古美術を見終わって降りる階段にオラファー・エリアソンの黄色い光と輪を使った幻影のような作品があった。

そのほか児童教育棟はレム・コールハウスが設計。全体としては韓国美術が世界に通じていることを見せる愛国主義的な精神を感じたが、それは悪いことではない。日本で常設を基本にした私立美術館で、古美術と現代美術を同時に見せる場所はないのではないかと思い立った。

国立中央博物館には翌日行った。後でわかったのは、ここはリウム美術館と同じ龍山区で近かったこと。地下鉄の二村駅からお洒落な地下通路があり、そこを出ると広大な敷地が広がる。規模としてはルーヴルや大英博物館並みだろうが、これほど見晴らしのいい美術館や博物館は見たことがない。四方に視界が広がる景色のいい場所に立つと、米軍関係の施設が目立つ。博物館の場所自体が米軍基地だったと後で知った。

この博物館は2005年にできたもので新しいが、かつては景福宮の旧朝鮮総督府の建物を使っていたはず。この新館も米軍基地跡地だとすると、すべてが政治的に見えてくる。

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