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2019年8月 6日 (火)

『隣の影』のブラックな笑い

アイスランド映画『隣の影』を劇場で見た。新聞でいくつか映画評を読んで、見たいと思ったから。ささいなことで隣の家といさかいが生じ、それが殺人事件に発展するという展開に興味を持った。

冒頭は夜の若い夫婦。隣から激しいセックスの声が聞こえるが、夫婦は関心がなさそうに寝てしまう。それから夫のアトリは別室のパソコンでみだらな映像を見ている。そこに自分と別の女が写っていることを、後でやってきた妻のアグネスに見られてしまう。

ポイントはこの夫婦は映画の中心ではないこと。アグネスから追い出されたアトリが両親の家に行くと、隣の家とのもめ事が始まったばかりだった。きっかけは両親の家の木が茂っているので日が当たらなくなったという隣の家からのクレーム。その若い妻が気に入らないアトリの母のインガは、若妻に犬の糞を投げつける。

インガの夫のバルドウィンの車のタイヤが4個ともパンクしていたり、自分が可愛がっていた猫が失踪したりしたことで、証拠はないのにインガの怒りは頂点に。娘に会おうとして妻から完全に追い出されたアトリは、隣の家を見張るためにテントで寝る羽目に。母のインガは隣の犬を連れだして、殺処分をしてもらう。

そこから隣の家の怒りも爆発し、両家の男たちの血みどろの戦いに発展する。最初は「考えすぎだなあ」とか「やりすぎだなあ」とか思って見ているが、いつの間にか後戻りできなくなっていることに気がついて、唖然とする。どの人物にも感情移入できないままにブラックな笑いは進行し、大惨事に至る。

どこにでもありそうな話から、人間の愚かさをするすると見せるクールさはなかなか。猛暑の夏だが、最後まで救いがない確信犯的なやり過ぎにちょっとヒヤリとする感覚が味わえる。監督は1978年生まれのハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソンで、3本目の長編という。

それにしてもアイスランドの住宅はどこも立派で、日本よりずっと豊かな暮らしのように思えた。

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