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2019年8月17日 (土)

「発掘」をめぐる展覧会2つ

金曜日の夕方に東京駅で用事を終えて、ふと思い立って上野に展覧会を見に行った。最近は夜間開館があるからだが、一番見たかった東京芸大美術館の「円山応挙から近代京都画壇へ」は通常の17時閉館だった。そこで東京国立博物館の「三国志」展を見ることにした。

「三国志」というのは、普通の日本人にとって聞いたことはあるが実はよくわからないものの一つ。本来は中国の歴史書だが、日本では吉川英治や柴田錬三郎の翻案本の方が普及しているし、漫画でも有名で最近はアニメやゲームもある。

とにかく、2世紀末に漢王朝が陰りを見せた時に、魏、蜀、呉の三国が台頭して3世紀に天下を分かちあう頃のことである。だから展覧会を見ても、専門家かよほどの中国史オタクでないと固有名詞が多すぎてどの王朝の誰なのかさっぱりわからない。

多くは2000年以降に発掘されたもので、権力者の墓の埋蔵品が多い。虎型の棺座とか、舟をかたどったものとか。もちろん宝飾類も多く、《金製獣文帯金具》は豪華絢爛の金具だし、ガラス連珠や化粧盤もある。

後半の展示室には殷の曹操の墓「曹操高陵」を再現した原寸大の薄暗い部屋があって、かなりよくできている。この墓も2008年に初めて発掘されて、そこからは石碑、土器、髪飾り、白磁、青磁などがごっそりと発掘されたようだ。

2000年以降の発掘品が半分を超すこの展覧会は、豊かになって発掘が急に始まった中国の考古学を現在進行形で見せているようなもの。ちょうど中国の映画観客数が毎年驚異的に増えているように、今後も発掘品はどんどん増えるのではないか。

その帰りに「恐竜博2019」も駆け足で見た。こちらは三国志の2、3世紀どころか、人類以前の何千万年も前の話。冒頭に恐竜の研究の歴史がきちんと示されていたのが一番興味深かった。1969年の「デイノニクス」の発見から、恐竜に対する従来の「大型でのろまな変温動物」というイメージが変わった。「素早く活発に動く常温動物」となり、鳥類の起源となった。これを「恐竜ルネサンス」と呼ぶらしい。

もうひとつおもしろかったのは、「むかわ竜」という北海道のむかわ町で今世紀になって発掘された恐竜の骨が展示されていたこと。海の地層から発掘されたもので、日本名でも別に日本風の恐竜ではない。

私はいわゆる「美術」が好きで、三国志も恐竜も「発掘」にはあまり興味がない。ただ2つの展覧会を見ると、それが好きな人々の情熱は理解できる気がした。

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