排外主義という亡霊
世界中で「排外主義」という亡霊が蘇っている。トランプに似た排外主義のボリス・ジョンソンが英国の首相になって困ったなと思っていたら、日本は韓国への輸出規制の第2弾を発表した。アメリカは対中関税の第4弾を発表。米ロの中距離核戦略全廃条約も失効した。
20世紀は19世紀の植民地主義や帝国主義から2度の大戦を経て国際協調へと向かう歴史を歩み、排外主義を克服してきた。しかし21世紀になって再び、外国を敵とみなし自分の国が一番というのが、流行り出した。
少し前は右翼とかネオナチとか極端な人々だったが、最近はそういう意見が主流になりつつあり、そうした発言をする政治家が選ばれる。森友問題や加計問題などスキャンダルだらけの安倍首相の自民党が、先日の参院選で過半数を取るのだから。トランプもジョンソンもそうだが。
先日驚いたのは、韓国への制裁第一弾、つまり半導体関連輸出規制をした時、国民の6割が支持したということ。これは参院選の選挙中のことだから、明らかにそれをわかっていて決行したのだろう。
今回の第二弾制裁に関して「パブリックコメント」を求めたところ、4万件を超す意見が寄せられ、賛成が95%という。もともとパブリックコメントには数十件の意見しかないことが多いというから、これには組織的な動きは感じるが、それにしても。
韓国関連では、始まったばかりの愛知トリエンナーレで、「表現の不自由点・その後」に展示された慰安婦像に対して、名古屋市の河村市長が愛知県知事に撤去を求めたという。さらに文化庁の補助金が予定されていることに対して、菅官房長官が「精査して適切に対応したい」。
芸術監督の津田大介氏は、「内容の変更を含めた対処を考えている」と発表。その「一番の理由は抗議電話が殺到し、対応する職員が精神的に疲労していること」という。津田氏のことだからそう簡単に折れないとは思うが、市や県や国が補助金を理由に美術展の展示内容に口出しするとは、とんでもないことだ。
そしてパブリックコメントに意見を寄せる人、抗議電話をする人の負のエネルギーはどこから来るのだろうか。ネット時代がこのエネルギーを増加させていることは間違いない。やはりこの世界は終わりに近づいているのだろうか。
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コメント
僕は、ジョンレノンのイマジンが好きです。そう、国にとらわれず、みんなが幸せに!
投稿: Jun | 2019年8月 3日 (土) 21時33分