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2019年9月27日 (金)

トーマス・クックの倒産に考える

「トーマス・クックが倒産」というニュースを聞いても、若い人は何のことかわからないのではないか。1980年代に大学生で初めて海外に行った私にとっては、ほかにはないくらい世界的なブランドだった。その存在感は、今のフェースブックやアップルくらい大きかったのではないか。

1984年春に仏語弁論大会でもらったエールフランスのチケットでパリに行った時、手にしていたのはトーマス・クックのドル建てとフラン建てのトラベラーズ・チェック(旅行小切手)と、トーマス・クック時刻表だった。

トラベラーズ・チェックは今は誰も使わないが、円を現金で持って行って両替するよりレートがよくて手数料が少なく、盗まれても保険でお金が戻ってくるので便利だった。100フランとか50フランを何枚も作ったが、使う時にはお釣りももらえた。当時は日本の大手銀行はどこでも作れた。

誰かがアメリカン・エクスプレスのトラベラーズ・チェックはフランスで嫌がられると教えてくれたので(たぶん単なる噂)、トーマス・クックを選んだ。そこが発行する時刻表を買ったのは、パリから列車でプラハに旅行したから。当時はトーマス・クックの時刻表は、福岡でも大きい書店にはどこでも平積みで売っていた。

そこにはヨーロッパのすべての列車の時刻表が載っていた。私はたぶん3、4回は最新のものを買った気がする。それを広げてパリからベネチアへの夜行便を調べたりするだけで、心が躍った。トラベラーズ・チェックは、クレジットカードが普及して誰も使わなくなった。紙幣よりもかさばるトラベラーズ・チェックを持ち歩くのは面倒だったし。

時刻表はネット時代になって、必要がなくなった。最後に出たのは2013年のものらしいが、手元に一冊でも残しおけばよかったと思う。かつては欧州の主要駅には旅行代理店としてのトーマス・クックの支店があって、両替をやっていたし駅の窓口より安いツアー切符を売っていた。

ネットで調べると、創業は1841年。1851年の世界で初めての万国博覧会であるロンドン万博で、鉄道チケットとホテル予約をセットにしたツアーを組んで大儲けしたはず。ロンドン万博の入場者は603万人。それを真似して1955年に第一回パリ万博が開かれると、イギリスからツアー客を送り込んだ。

当時の万博は、そこに行けば世界を一堂に見られる場所だった。その意味で映画ができる直前の装置かもしれない。映画の基礎となるマイブリッジやマレイの発明もすべて万博で展示されているし。

かつてトーマス・クックについての本を読んだ記憶があるが、本棚を見ても見つからない。

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