「あいちトリエンナーレ」の文化庁補助金取り消しの異常さについて
「あいちトリエンナーレ」をめぐっては、開幕わずか3日にして「表現の不自由展・その後」展の展示が中止になったことが問題となったが、今回は何と文化庁が内定してい補助金約7800万円の交付を取り消すという暴挙に出た。津田大介氏と愛知県の大村知事が中止を発表した件については既に「朝日新聞デジタル論座」に書いたが、今回の問題はさらに大きい。
私は最初の職場である国際交流基金でさまざまな助成事業の事務に関わったし、今は文化庁や文化庁の下にある芸術文化振興基金で、映画関連の助成の審査を複数担当している。その経験で言えば、いったん内定した事業に対してそれを取り消すのはめったにない、と言える。
文化庁の補助金は、当然ながら文化庁長官やその職員が審査するのではない。専門の委員会があって審査する。さらにその上の委員会で最終的に採択を認めるはず。その結果を文化庁はそのまま通知する。
採択の結果を申請者が受諾する場合は補助金交付申請書を出し、終了後に事業報告書を出す。補助金の交付はその報告書を受け取ってから。ところが今回はまだ終わってもいないのに、突如ゼロ査定が出た。これはどう見ても異常である。以下、文化庁のHPからコピペする。
(4)補助金の交付
文化庁は、実績報告書の内容を審査し、当該補助事業の成果が補助金の交付の決定及びこれに付した条件に適合すると認めたときは、交付すべき補助金の額を確定し、補助金の額の確定通知書により、団体に通知し、補助金を交付します。
あえて言えばその後に「Ⅳ.その他の留意事項等」というのがあって以下の通り書かれている。
1.事業実施に当たっての留意点
(1)実施計画の変更
事業開始後、実施計画の内容に変更が生じた場合は、文化庁に速やかに報告してください。
(2)事業の報告
事業実施による効果や成果を定量的・定性的に把握するため、事業完了後、実績報告書等を提出していただきます。実績報告書に効果や成果を明確に記載することができるよう、あらかじめ準備しておいてください。
なお、実績報告書において、実績が計画と著しく異なる、効果や成果の把握ができていない等の状況が認められた場合は、交付決定を取り消すことがあります。
「文化庁にすみやかに報告」という部分が欠けていたというのが今回の取り消しの根拠のようだが、通常はそれは報告書でわかること。国際交流基金から助成金を得て海外公演をするつもりの劇団が、同基金以外の資金が集まらずに海外公演を断念したなど(実際にあった)がそれに当たる。長くなったので続きは次回に。
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