東京国際映画祭で財布を落としたら
久しぶりに全身から冷や汗が出た。映画祭で銀行のキャッシュカードやクレジットカードを入れた財布を落としてしまったから。昨日ここで書いたフィリピン映画『停止』を見た直後、夜の11時少し前に劇場を出た。ゲストのQ&Aがあったが、遅いので残らなかった。
5時間近い映画だったし疲れていたので、まだクレジットが出ている時に暗い廊下をふらふらと出た。私には十分に遅い時間なので、タクシー乗り場へ。タクシーに乗って直後に上着に財布がないことに気がついた。
手にしていたリュックの中を確かめるが、どこにもない。運転手に「財布を映画館に忘れたので、戻ってください」と告げて、嫌がられたが仕方がない。別に1枚クレジットカードがあったので、それで支払って、劇場へ。
まだトークの真っ最中だったが、自分の席に戻って椅子の下を見たがない。壇上にゲストがいて話しているのに、財布を探しているのは失礼だしみっともなかった。司会は友人の石坂さんなのでなおさら。10分ほど周囲を見たが見つからないし、トークは盛り上がっていて終わる気配はないので、そのまま出た。
出がけに係の人に聞いたが、届け出はないらしい。またタクシーに乗って帰宅した。夕方6時前にサンドイッチを食べたばかりでお腹がすいていたので、ワインを飲みながらパンをかじる。それからカード会社に電話して再発行の手続きをした。キャッシュカードはネットで一時使用停止に。興奮して眠れないので、さらにワインを飲む。
財布には、キャッシュカードとクレジットカード1枚ずつのほか、大学の教職員証、免許証、マンションのカードキー、パスモ、スーパーやクリーニングなどのカードに現金2万円ほど。免許証で住所がわかるから、財布を拾った人はキーを使って私のマンションにも入れることになる。そんなことを考えると眠れなかった。
翌朝、古い財布を出して家を出た。別のキャッシュカードで銀行で1万円を下ろし、地下鉄で新たにパスモを購入して六本木の劇場へ着いたのが9時半過ぎ。インフォメーションで昨晩カードをなくしたと告げると電話をしてくれて、「財布があるようですが、お名前を」と言われてびっくり。5分後に財布を持ったTOHOシネマズの若い男性が現れた。その時は本当は後光が差して見えた。
中を見ると現金も含めてすべてそのまま。前日夜に見た『停止』の暗黒の世界から、一挙に太陽が現れた。やはり日本はすばらしい、東京国際映画祭はすばらしい、と一瞬だけ思った。その後見たコンペの日本映画『喜劇 愛情物語』はひどかったが。
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