今年も学生映画祭やります
昨日の「朝日」東京本社版夕刊第二社会面に、私の学生が企画する映画祭「スポーツの光と影」についての記事が載った。「朝日」の夕刊社会面に出るのは、昨年の「朝鮮半島と私たち」、一昨年の「映画と天皇」に次いで3年連続だ。
こう書くと、さも元朝日新聞社員の私が手を回しているように思われる。実際、大学の同僚たちはそう思っている。だが、新聞はそんなに甘くはない。むしろ元社員が関係していたら、かえって難しくなるのが「朝日」の体質だと思う。
それでも載るのは、あくまで中身次第。「映画と天皇」の時は、前年に天皇の「お言葉」があって退位が決まっていたし、「朝鮮半島と私たち」は、日韓関係が危うくなりつつあった頃だった。今年は日大アメフト問題から1年半たっての企画で、チラシの表のキャッチは、「日大生、映画でスポーツを考える」
こう書くとまた、「古賀さんが企画しているんでしょう」「少なくとも企画を誘導しているでしょう」と言われるが、それも違う。この映画祭は、毎年15名ほどの学生が参加する私のゼミの一環でやっているが、最初は4月に全員が1本ずつ映画祭の企画書を出す。それぞれがプレゼンをして半分に絞り、最後は2、3本の企画を劇場(ユーロスペース)に提案する。絞る作業は、教員2名も含めた多数決が原則。
実は私はこの企画ではマスコミの注目は浴びないという理由で反対だったが、圧倒的多数決で決まってしまった。それほどアメフト問題は今の日大生を深く傷つけ、考えさせたようだ。チラシの中面には「日大アメフト問題から一年半、スポーツ映画を通して、私たちの声を伝える」と書かれている。
最終的に残った企画を提案した学生がリーダーになるのが通例だ。「映画と天皇」を提案したYさんは、小学生の時ドイツで暮らしていて、友達に日本の天皇のことを聞かれて答えられなかったことを引きずっていた。「朝鮮半島と私たち」のKさんは吉永小百合主演の『キューポラのある街』を授業で見て「帰国事業」にショックを受けた。
今回のリーダーのSさんは、小、中、高と柔道をやっており、その時の指導者たちとの関係が根底にあった。今回この企画が決まってからは、Sさんはアメフト部の学生に説明に行きたいと希望していた。結果として、アメフト部の例の学生も所属する三軒茶屋キャンパスのスポーツ科学部で、双方の学生3名と教員1名ずつが参加するシンポ「スポーツと映画と社会」も開いた。
おもしろかったのは、そのシンポで観客席にいた映画祭メンバーのOさんが「私はスポーツが苦手で嫌いだった」と話し始めたこと。先方の学部長まで発言するほど盛り上がった。
さて、日刊紙に載ったからといって観客があつまるとは限らない。去年はこれまでで最高の入場者数だったが、今年はどうだろうか。
| 固定リンク
「スポーツ」カテゴリの記事
- 金メダルに考える(2024.08.14)
- 今一度、オリンピックへの疑問(2021.04.10)
- 今年も学生映画祭やります(2019.11.22)
- それでもスポーツ・クラブに通う(2010.10.31)
- ワールドカップは地球規模の人間疎外(2010.06.15)
「大学」カテゴリの記事
- この暑さで授業をする大学とは(2024.07.24)
- 国立大学法人化20年(2024.04.10)
- 変わる大学(2023.12.12)
- 映画祭「移民とわたしたち」を終えて(2023.12.10)
- 山村浩二さんの学生時代(2023.08.27)
「映画」カテゴリの記事
- 『動物界』に考える(2024.11.12)
- 少しだけ東京国際:その(5)(2024.11.06)
- 少しだけ東京国際:その(4)(2024.11.05)
- 少しだけ東京国際:その(3)(2024.11.04)
コメント