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2019年12月 1日 (日)

都写美で写真展2つ

恵比寿で映画を見たついでに、東京都写真美術館で写真展を2つ見た。「山沢栄子/私の現代」展は、1899年生まれで1995年に亡くなった女性写真家のパイオニアの個展だが、私は名前を聞いたことがあるくらいだったのでその遍歴と写真の幅の広さに驚いた。

女子美を出て1926年にアメリカに渡って写真を学ぶ。29年に帰国して大阪に写真スタジオを開き、ポートレート写真家として活躍。戦後は企業の広告写真を手がけた後、60年代からは抽象写真を手がけたという。

展覧会はオブジェを撮った抽象写真から始まる。曲がった針金や歪んだカラフルな鉄などを撮っているが、全体に色彩感覚がシャープでモダンでカッコいい。それから1955年のニューヨークの街頭の写真が並び、それから50年代後半の大阪の写真。これらはネガも紙焼きも残っていないため写真集をバラしたものだが、明らかに抽象への志向を感じる。

最後に30年代から40年代のポートレート写真が並ぶ。雑誌に掲載された写真もある。最後に1987年にアメリカ人が撮ったビデオがあった。88歳で英語を交えて元気に話していたのが印象に残った。彼女を撮った写真もあったが、まさに元気印の関西のおばちゃんだった。

彼女の言葉がパネルに書かれていたが、「戦前はすべてにおいて男女差別があったが、写真撮影料は女が撮っても同じ値段にできたので痛快だった」という内容が書かれていた。こうした知られざる写真家はもっともっと発掘して欲しい。

もう1つの写真展「日本の新進作家vol.16 至近距離の宇宙」は30代後半から40代半ばの6人の写真家を見せる。双子をテーマにした写真、生まれたばかりの赤ちゃん、日常生活の大小の組み写真、山と水の写真、驚き盤などの視覚の遊び。どれも「意図」が先に立って、それなりにおもしろいが、あまり心に残らない。2つの展覧会とも1月26日まで。

そういえば、少し前に行った上野の森美術館の「ゴッホ展」には失望した。83点の展示だが、うち1/3以上がゴッホ以外の画家の作品だ。こういう場合は普通は「ゴッホとその時代」や「ゴッホとその仲間たち」などと題するのが良心だが。印象派の絵は国内の所蔵も多いし。

そのうえ、ゴッホの作品でも鉛筆などのデッサンやリトグラフも多いし、オランダ時代の初期作品が半分を超す。我々の知るゴッホらしいフランス時代の絵は、ようやく最後に現れる。ポスターに使われているワシントン・ナショナル・ギャラリーの《糸杉》など見ごたえのある作品が15点ほど。

これらを見られただけでもよかったが、国立新美術館や東京国立近代美術館などでこれまで日本で開かれたゴッホ展に比べるとだいぶ落ちる。とにかく会場が狭い。これで当日1800円とは。そのうえカード払いもできなかった。

 

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