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2019年12月 8日 (日)

『イエスタデイ』を楽しむ

ダニー・ボイル監督の『イエスタデイ』を劇場で見た。実は年末のベストテンを書かねばならず、どんな映画があったかと調べていたら、「日刊スポーツ映画大賞」の外国映画にノミネートされた5本の1本だったから。

前に予告編を見た時は、「キワモノ」だなあと思った。世界からビートルズが消えてしまい、それを知っている青年がビートルズの真似をして有名になる話なんてやり過ぎの感じがした。ダニー・ボイルはそれを巧みに仕上げるだろうし。

とにもかくにも見に行ったら、最後の辺りでちょっと泣いてしまった。全体はダニー・ボイル監督作品としてもずいぶん「ユルイ」というか、メリハリが効いていない。それでも最初に主人公のジャックが友人の前でギター片手にぽろりと「イエスタデイ」を弾くシーンでグイと引き込まれた。

考えてみたら、「ヘイ・ジュード」でも「レット・イット・ビー」でもメロディや英語の歌詞を大半覚えている曲は20以上はあるが、きちんと日本語の意味を考えたことがなかった。それが「昨日まで悩むことなんかないと思っていた」と字幕が出てくると、何とも新鮮。その意味にいちいち感動した。

物語は13秒間世界中で電気が止まった後に、いくつかのものがなかったことになっているという設定。「ビートルズ」のほかに「コカ・コーラ」もなくなっていた。ジャックがパソコンで検索しても出てこない。彼は「ビートルズ」が知られていないことをいいことに、そのヒット曲を次々にコピーして有名になってゆく。ロスの女性剛腕プロモーターもつくが、ジャックはかつて自分の世話をしてくれたエリーとは遠ざかってしまう。

一番いいのは、エド・シーランが本名でミュージシャンとして出てくる場面だろう。彼の前座として出たジャックの才能を見て、応援する。最後には自分のコンサートのゲストとして、エリーへの告白の場面を作る。舞台袖にいるエリーが大きく写ったシーンに思わず涙した。

もう1つ涙が出たのは、イギリスの港町に住むジョン・レノンをジャックが訪ねるシーン。もちろんそっくりさんが演じているが、最初に出た時は本物のように見えて、またホロリ。

そういうわけで、十分に楽しんでしまった。

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コメント

私も、あまりに究極の「一発ネタ」という判断で正直、あまり期待しないで見始めました。

が、やはりあのシーンで陥落いたしました。
「こんなタイムラインがあってもいいかも…」(涙)

あとから知ったのですが、なんとジョン・レノンを演じていたのは、ロバート・カーライル だそうですよ!

投稿: onscreen | 2019年12月14日 (土) 07時34分

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