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2019年12月13日 (金)

渋谷で展覧会2つ

渋谷に映画を見に行ったついでに、散歩がてら渋谷区立松涛美術館に行った。ここは1995年に私が企画した展覧会「映画伝来」を開催した美術館なので、あの白井晟一建築の建物には愛着がある。入口は要塞みたいだが中は個人の邸宅のようで、展覧会場は2階と地下1階に分かれていて、あまり広くない。

1月31日まで開催の「サラ・ベルナールの世界」展を見たが、あのちょっと暗い感じのこじんまりとした会場にピッタリだった。サラ・ベルナールは19世紀後半から20世紀初頭に活躍した舞台女優だが、今ではロートレックなどのアール・ヌーヴォーのポスターに描かれた女性として知られている。

この展覧会は彼女を描いたポスターやリトグラフ、絵画、写真、彼女が身につけていた衣装や宝飾、舞台の写真、彼女がパトロンとして庇護したアルフォンス・ミュシャやルネ・ラリックの作品などを集めたもの。だから美術展というよりも、資料展に近い。

まず、これほど彼女の写真を見たのは初めてで、ちょうど写真が発明された時期だから、有名人として写す対象に選ばれたのだろうと思う。ボードレールなど有名人を次々に撮ったナダールの写真も数点ある。彼女のイメージはとにかくゴージャスな感じだが、顔立ちは意外に今風の繊細な美人だった。

この展覧会を見ると、そのイメージはミュシャの装飾的なポスター群で作られたものだとよくわかる。コテコテに着飾って背景には花や草木の模様が敷き詰められたミュシャの世界が、そのまま「聖なる怪物」とジャン・コクトーが呼んだ圧倒的な存在感につながっている。

彼女は欧州各地やアメリカでも数限りなく公演をし、世界規模で知られた最初のスター女優だったと解説に書かれていたが、その旅ごとに作られたミュシャのポスターがそのイメージを形成していったのではないだろうか。展覧会には街着姿で友人や家族と写る写真もあるが、こちらは極めて普通な感じ。カタログが資料として役立ちそうなので買おうかと思ったが、もう家には置く場所がないのでやめた。

その後に見たのが、Bunmamuraザ・ミュージアムで12月23日まで開催の「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」。リヒテンシュタインは世界で唯一家名が国名になったスイスとオーストリアに挟まれた小国で、バロックやロココの絵画、陶磁器などのコレクションを持つ。私には、有田焼や景徳鎮の陶器にウィーンで金具をつけた合成ものが一番興味深かった。

 

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