佐藤優氏が聞くナベツネ
『週刊新潮』は櫻井よしこ氏が連載しているので普通は買わないが、久しぶりに買った。地下鉄の中吊り広告で見たら、萩生田文科大臣のスキャンダルと小保方さんの消息があるうえ、佐藤優氏の「頂上対決」の相手がナベツネだったから。
荻生田大臣のスキャンダルはいかにもだったし、男性と同棲して洋菓子店で働いている小保方さんを追い回すのは気の毒な気がしたが、93歳の読売新聞の顔、ナベツネ=渡辺恒雄氏の発言には驚いた。大きな写真が載っているが、「かくしゃく」という言葉がぴったり。
まず、現在絶えず言及される日韓基本条約のお膳立てをしたこと。佐藤はまるで当たり前のように「韓国と言えば、渡辺さんを抜きに日韓関係の歴史は語れません。日韓基本条約(65年)のお膳立てをされた」と話を向ける。62年にKCIA長官の金鍾泌が来日して取材をして意気投合した渡辺は「それで韓国に来てくれというから、まず最初は内密に一人で言って、二度目は自民党副総裁の大野伴睦を連れて行ったんだ」
「この韓国滞在中、ホテルに戻ると、机の上にいろんなものが置いてあるんだ。全部、貢ぎ物。日韓国交回復を見据えて、韓国からも日本からも利権屋が殺到してきた」として瀬島龍三や児玉誉士夫などの名を挙げる。
佐藤「利権屋が絡んでくると、すっと引いてしまうところが渡辺さんですね。僕は渡辺さんは前衛思想の持ち主だと思っているんです」「共産党の前衛思想に限らず、何か社会を動かしてゆくには前衛指導的な人が必要です」
つまり、ナベツネは社会を動かすことが好きだった。「死んだふり解散」で知られる1989年の衆参同日選挙も、彼が中曽根に勧めたという。読売新聞では、社長になった時にあった1600億円の借金を返し、同額くらいの内部留保を貯め、7000億円の投資をした。「返した金と貯蓄と投資額を合わせると1兆円稼いだよ」
要するに戦後政治の黒幕として保守政治を動かし、さらに読売新聞という政府寄り新聞を優良企業にした。「まあ、新聞は販売にお金をかけ過ぎなければ、十分にやっていけるんですよ。現状、お金の心配はない」となる。読売が部数で朝日や毎日を遙かに抜いたことは、果たしていいことなのか。私は、現在の安倍政権に至る日本社会全体の保守化を作った1人ではないかと思うのだが。
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