年末年始に家に籠るわけ
前にフランス人の友人から、正月に見る日本人は顔が違う、と言われたことがある。「日頃のとげとげしさがなくなる」「みんな幸せそうに見える」等々。しかし日本人の私にはむしろ、その無防備な感じが醜く見える。
いわゆるよそ行きの顔ではなく、内向きのだらりとした感じ。特に家族連れを見ると、痛々しい。「こんなダンナのどこがいいのか」「なんとダサい奥さん」「この子供の将来が思いやられる」「4人でこんなに広がってゆっくり歩くな」「家族全員で揃ってスマホやってどうする」。こんな感じで心の中でつぶやいている。
正月の雰囲気は日本独特だと思う。少なくとも欧州にはない。お店がどこも閉まっていて、とにかく家族で過ごす。みんなで紅白歌合戦などのテレビを見る。年が明けると神社にお参りに行く。最近思うのは、どこの神社も昔に比べて混んでいること。
正確に言えば混んでいるというより、列ができている。かつては大きな神社であればあるほど、ほとんど四方八方から集まって賽銭を投げて、空いている大鈴を鳴らした。知らない人と一緒に鳴らすこともザラだった。少なくとも私の記憶だと80年代から90年代までの赤城神社も毘沙門天善国寺も、もっと大きい富岡八幡宮、目黒不動尊、穴八万宮もそうだった。
ところが今は綺麗に一列に並ぶ。みんな平気で、スマホをしながら1時間も待つ。家族ごとにニコニコ並んでようやく順番が来ると全員が1回ずつ鈴を鳴らす。そのうえ、いつごろからか2回礼をして2回拍手をしてまた頭を下げる習慣ができた。若い家族に多い。まるで家で練習してきたように家族揃ってやるから、時間がかかって仕方がない。
私はそういうマニュアル家族を見るとイライラするので、正月に10分以上並ぶ神社には行かなくなった。そうするとさっき書いたところは全部ダメになる。そこで人の少ない、誰も知らないような小さな神社にお参りする。幸いにして私の近所には無数にある。人が少ない方が、むしろ有難みがある気がするのだが。
そんなこともあって、正月はできるだけ家に籠る。そして本を読み、DVDを見る。今年は喪中はがきを12月初めに出したので、年末年始の年賀状地獄もなく、時間がたっぷり。今年はいい正月だった。
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