江戸川橋のポトラッチ現象
学生の頃、「ポトラッチ」という言葉を聞いたことがある。文化人類学で、ネイティブアメリカン(=インディアン)が宴会で大勢の人々をもてなして散財することを言うと聞いた。その友人は、金がないくせに大盤振る舞いをすることを「ポトラッチ」と呼んでいた。
今、スーパーの丸正・江戸川橋店が「ポトラッチ」状態にある。なぜかと言うと、先日突然に、「2月2日で閉店します」と掲示が出たから。私が知ったのは18日(土)で、ポイントカードを出すと300円割引券が出てきたが、「2月2日で閉店なので、注意してください」と言われたから。「ポイントカードは明日までです」とも言われた。
もともとこの店は高齢者の客が多い。平均年齢は確実に70歳くらいで、岩波ホールより上のような気がする。だから老人たちは大騒ぎで「で、その後どうなるの?」「あなたの働く場所はあるの?」「なくなったら困るわよ」と店員に話しかけていた。私も一番使うスーパーなので、ショックを受けた。
翌日、また行って300円券を使い、ポイントカードを出すと「清算しますのでお待ちください」。5分ほどたったら別の止めたレジから店員がやってきて「プレミアムお買物券」16,500円分と100円強の小銭を持ってきた。「2月2日までに使ってください」
月に一度くらい300円券が出るのは知っていたが、なぜ突然これほどのお買物券が出たのかさっぱりわからない。みんなわからないままに、数千円のお買物券をもらって、きょとんとしていた。全体が騒然としていて「あと2週間でこんなに使うかしら。高いお肉でも買いましょうか」と言う声が聞こえた。
この店は生鮮館と50m先の食品館に分かれている。夕方6時頃だったが、生鮮館を出た私はアルコールのある食品館に向かった。そこは一種の興奮状態にあった。みんながお買物券を片手に、日頃買わない高級な醤油やオリーブオイルやワインなどを買っており、多くの棚がカラになっていた。聞くと食品館では追加の仕入れはしないらしい。
みんな買えるものはないかと、必死で探している。私は慌てて5000円近いシャンパンの瓶と、1000円を超すバルサミコ酢をゲットしてお買物券で払った。みんな両手に商品を下げて高揚した様子で家に帰っていた。
昨日行ってみたら、生鮮館には普通に商品があるが、食品館の棚は半分以上なにもない。それでもお買物券を握りしめた客でどちらも大賑わい。このスーパーを使うどの家庭でも、ポトラッチ現象が起きているのではないだろうか。それにしても、なぜ1万円を超す買物券が出たのか。閉店直前には大騒動が起こる気がしてならない。
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