武漢の封鎖に考える
最近ショックを受けたニュースはゴーン氏の国外逃亡だったが、ここへ来て中国の武漢市を発信源としたコロナウィルス騒ぎが気になってしかたがない。共通点はどちらも飛行機が出てくること。
日本政府は自国民を救うために既にチャーター機を3機飛ばしているし、アメリカやフランスも同様だ。昨日、首相は湖北省発行のパスポート保持者と湖南省に2週間以内に滞在した外国人の入国を拒否すると発表した。
そもそも1週間ほど前に、武漢の空港が閉鎖され、周囲への道路まで閉ざされたのに驚いた。このように隔離状態の「死の街」を作ったのは中世ヨーロッパのペスト以来ではないか。思い出すのはカミュの小説『ペスト』(1945)で、ペストのために封鎖されたアルジェリアのオランを描いた不条理小説だった。
小説よりも、1992年のルイス・プエンツォ監督の映画『ペスト』の方が覚えている。「死の街」は監督の出身地、ブエノス・アイレスに変えられていたが、そこで治療を続ける医者をウィリアム・ハートが、病気を恐れず書き続けるフランス人女性ジャーナリストをサンドリーヌ・ボネールが演じて途中まではかなりおもしろかった。なぜあの映画は日本で公開されなかったのだろうか。ジャン=マルク・バールやロバート・デュヴァルも出ていたのに。
いずれにしても、現代において都市を封鎖し、隔離状態に置いたことは私の記憶にはない。ましてそれがウィルスを防ぐためということならば、恐怖を煽る。私自身も、通勤の際に通る池袋駅で中国人が数名いるとちょっと身構えた。考えたらバカみたいな話だが。
ローマの国立音楽院で「2月5日に当院の医者が診察するまですべての東洋人へのレッスンを中止する」という通達が出されたというが、武漢から湖北省、それから中国、そしてアジアから東洋と、死のウィルスのイメージはどんどん広がるだろう。たぶん「だって見分けがつかないんだから」という素朴な考えだろうが。
現代の恐怖は、武器と細菌である。武器は資本を持つ者が威嚇のために管理するが、細菌は思い通りにはいかない。だから容易に人種差別に結びつく。先進国が飛行機で自国民を救出し、空港で入国を選別するようになれば、今後は間違いなく医療設備が十分でない途上国に広がってゆくだろう。コロナウィルスに始まる差別の連鎖はこれからのような気がする。
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