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2020年2月 3日 (月)

武漢の封鎖についてもう1度

「武漢」という文字が毎日のニュースを飾っているが、誰も触れていないことがある。「武漢」と言えば、かつての日本人は「武漢作戦」を思い出すはず。日本は上海や南京から内陸に迫り、1938年6月に武漢を制圧する。もちろんそれはつかの間の勝利で、首都が移されたさらに奥地の重慶は攻略できなかった。

武漢に兵士たちが勝利の入城を行う映像は、亀井文夫のドキュメンタリー『戦ふ兵隊』(1939)で見ることができる。もっともこの映画は、疲れ切って広場に寝てしまう兵隊たちも描いており、「疲れた兵隊」と批判されて上映中止になったが。

亀井文夫は「疲れた兵隊」に加えて、「困る中国人」もカメラに収めた。家財道具をリヤカーに積んで逃げる市民の行列や逃げ回る子供も写っている。あるいは、陥落後にバラバラに壊された家から役立つものを拾い集めるたくましい市民たちが見える。私は日本人の対中国の戦争責任を考える時、この映像を思い出す。

今回「武漢」という名前を聞くだけで、私はザワザワしてくる。今朝の「朝日」のネットを見ていたら、「武漢ってどんな街? 中国のど真ん中 守り抜いた日本の桜 」という見出しの記事があった。何と武漢作戦には一切触れずに、39年に植えられた桜が今もあることを美談として書いていた。

さて最近のニュースで驚いたのは、世界各地で「中国人お断り」の動きが出ていること。札幌のラーメン屋でも「中国人お断り」の店の看板を出した店が現れたという。最近、観光を始めとして中国人の存在感が大きくなっているので、抑えていた反発心が現れたのだろう。何とも嫌な感じ。

中国のあちこちの町で隣町との道路が盛り土や金網で封鎖されているらしい。通ろうとすると「武漢からじゃないだろうな」と言われたというニュースがあった。中国の中では「武漢排除」が始まっているようだ。旧正月が終わって多くの人々が元の場所に戻りつつあるので、問題はこれから中国国内でどの程度広がるかだろう。

細菌をネタにした差別が中国の内外で始まる。これは「血」と「地」が絡んでいるので、国や地域の差別につながりやすい。ネット時代でもあり、なんだかとんでもない結果を生みそうで怖い。「都市封鎖」も「チャーター機脱出」も昔の話かと思っていたのに。

そういえば、やたらに「手を洗う」「うがいをする」の励行が叫ばれる。手を洗ってズボンのお尻で拭いて何度も怒られた少年時代を思い出した。

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