新美で展覧会2つ
六本木で試写を見た後に、国立新美術館で展覧会を2つ見た。映画はじっと動かないで見る時間芸術だが、展覧会は足を動かしてみる空間芸術だ。同じ「見る」でも頭の構造が全く変わるので気分転換にいい。
3月16日までの「ブダペスト」展は、「ヨーロッパとハンガリーの美術400年」「ブダペスト国立西洋美術館&ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵」と書かれているように、ブダペストの2館の収蔵品でヨーロッパとハンガリーのルネサンス以降の美術を見せる。「ブダペスト」展のように都市名をそのまま展覧会につけるのは珍しいが、それくらいハンガリー美術は知られていないからだろう。
まず、入口でルカス・クラーナハの2枚の《不都合なカップル》に引き付けられる。大きい方は「老人と若い女」で、老人は左手で若い女の肩を抱き、右手で乳首のあたりを揉む。女は微笑みをうかべつつ、その右手は男の財布に入っている。「老女と若い男」の女は、金を男に掴ませている。次に息を飲んだのは、ティティアーノの《聖母子と聖パオロ》。このレベルの作品は日本の美術館にはない。
それからオランダ絵画やスペイン絵画が出てくる。絵画の黄金時代である17世紀の風景や静物画をたっぷり見せる。それから突然19世紀に入ると、ハンガリー絵画の中に時々ルノワールやコローなどのフランス絵画が出てくる。見ていると、フランス印象派とほぼ同じように、森で遊ぶ人々がいたり、海岸を楽しむ人がいる。
世紀末的な象徴主義もポスト印象派もあって、かなりフランスに似ている。考えて見たら、「国立西洋美術館」があるのは東京以外ではブダペストくらいかも。東京の国立西洋美術館だと西洋に憧れた日本をたっぷり感じるが、こちらは地理的に近いせいか同時代性と国民性がうまく混じっている感じがした。ウィーン・ハプスブルク家との関係もあるので、ハンガリー美術史はかなりおもしろそうだ。
「DOMANI・明日2020」展は、毎年、文化庁が海外に若手芸術家を派遣する制度(「在研」)の成果を発表しているが、今年は「日本博スペシャル」で、この10年ほどに「在研」で海外に行った作家や芸術選奨など文化庁関連の表彰を受けた作家を10人紹介している。
全体に原爆や戦争や地震など日本の現代史を感じさせる作品が多い。後半に行くほど力作が多く、岩絵の具で木々を大きな画面にモノクロームで描く日高理恵子、天井から黄色のか細い糸の絨毯のようなものを垂らした宮永愛子、震災後の東北に立つ木々を何枚もの写真に撮った畠山直哉などの作品が心に残った。こちらは16日まで。
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