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2020年2月16日 (日)

とうとう、ネットフリックスに加入した

大学ではネットフリックスのプロデューサーを呼んで講義をしてもらったこともあるのに、自分はネットフリックスに加入していなかった。2年前は学生のほとんどは動画配信サービスには加入していなかったが、映画学科で最近聞いてみたら2/3くらいがいずれかの会員だ。そろそろ私もと思っていたが、急に機会が訪れた。

先日、朝日新聞デジタルの「論座」から「『パラサイト』のアカデミー賞四冠について書いてください」と依頼が来た。実は私はポン・ジュノ監督はあまり見ていない。何と『グエムルー漢江の怪物ー』(2006)さえ未見だった。四冠の意味については書けるので依頼を受けたが、さすがに不安になった。

前にアマゾンで急に入手したいDVDがあったので、アマゾン・プライムには加入していた。これまで配信で見たのは、2年前に5日間入院した時の『ゴッドファーザー』だけだから、もうそろそろ退会するつもりだった。「配信まで見る暇はない」が一番の理由。

ところがそのアマゾンで『グエムル』がすぐに無料で見られることに気がついた。ちょうど試験の期間で研究室に待機していた2時間余りの間にパソコンで見てしまった。『殺人の追憶』(03)や『母なる証明』(09)とは違う、エンタメ要素たっぷりのモンスターものでびっくりした。

アメリカ人の薬品投棄がきっかけで漢江に怪物が生まれたところは、少し『ゴジラ』に似ている。怪物に噛まれると感染症を起こすというのはあまりに今日的だが、何より家族4人が娘ヒョンソを取り戻すために一致団結して戦う姿がいい。ダメおやじ役のソン・ガンホが中心になるのは『パラサイト』と同じ。

貧しい家庭をユーモラスに表現しているのがうまいし、アメリカを悪者にしているのもおかしい。大雨のシーンも『パラサイト』を思わせるし、あえてハッピーエンドにしないのも同じ。これは同じモンスターものの『okja/オクジャ』を見たいと思って、とうとうにネットフリックスに加入してしまった。

『オクジャ』はさらに洗練されていた。まず巨大な豚のモンスターが『グムエル』とは違って本物のようで、かつ可愛らしい。少女ミジャとの交流が何とも胸を打つ。このモンスターはアメリカの企業(社長はティルダ・スィントン!)で遺伝子組み換えによって作られたもので、動物虐待のテーマも出てくる。

『グムエル』と同じくエンタメでありながら、遺伝子組み換えや動物虐待など現代アメリカ的なテーマを奥に持つ。『スノーピアサー』はどうかと思ったが、この映画の経験があったから、アメリカ人にも理解される『パラサイト』があるのだとつくづく思った。

時間ができたら、早く『全裸監督』を見たい。

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