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2020年3月 5日 (木)

大学もネット授業になるのか

小中高校の多くが休学になり、ネット上では民間の会社による授業が数多く無料公開されているようだ。動画を見るだけでなく、ネット上で先生への質問もできるものもある。

大学はとりあえず、たまたま春休み期間でよかった。私の勤める大学では3月半ばまで学生を入校禁止にしたが、来る学生はサークルか図書館か作品制作のためなので、ほかでやればいい。入試を除くと、4月初めまではとりあえず安泰だ。

しかし4月になってもこの騒ぎが収まらないとどうなるのだろうか。私は200人前後が受講する授業を1つ持っているが、これなどはネット上でやってくれと言われそうな気もする。最近はあまり話題にならないが、JMOOCでは多くの講座が公開されている。私もその一部を担当したことがあるが、カメラの前で話して録画し、パワーポイントや動画を用意しておいて後で編集する。

たぶん30分でたった2回の授業だったが、準備は大変だった。普通の授業と違って全国で誰が聞いているかわからないから、どんな小さな間違いもないようにテキストを何度も推敲した。普通の大学の授業だと映画を一部流すのは著作権上問題がないが、JMOOCはユーチューブと同じ著作権の考えを適用する。だから原則として流すすべての映画に対して、著作権者の了解を文書でもらう必要がある。これも面倒な作業だった。

私は非常勤講師としてある大学の通信教育も担当したことがある。これは半期に2つ課題を出して、出されたものにコメントし、再提出をしてもらうのが主な指導だ。ネット上でコメントを書くシステムを使うが、簡単に言えば変更履歴付きで訂正したりコメントを書くのと同じ。これはフラストレーションがたまった。

相手の顔が見えない。年齢も学歴もわからない。確かなことは、生徒の能力に大きな差があり、基本的な文章能力が欠けている学生も混じっていること。通信教育だと社会人や主婦などが多い。海外にいる日本人も少なくない。つまり相手は大人なので、コメントの書き方にも気を使う。こちらのコメントに怒って、攻撃的な反論を送ってきた人もいた。

これは精神的に非常な苦痛だったので、2年で辞めてしまった。これまでの経験だと、動画の授業にしても課題を中心とした通信教育にしても、私には向いていない。もし動画で90分×年30回分の授業を作れと言われたら、もう大学を辞めたくなる。さて、4月からどうなるか。

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