コロナ禍時代の外食の快楽:その(1)目白・旬香亭
前に書いた通り、コロナ禍で多くの料理店が閉じたり、テイクアウト専門にくら替えした。自宅そばの昼食で一番好きな矢来町の「水町」は昼は弁当のみになった。それでも普通より200円以上下げて600円でミニちゃんこ付きだから頑張っていると思う。2番目に好きな江戸川橋の「魚谷」は閉じたまま。
「水町」の弁当はおいしかったが、それでも弁当はかなしい。昼間にジーンズの中年男が1人でビニール袋に入った弁当を下げて歩くのはどう見ても侘しいが、そういう姿をあちこちで見る。家に帰っても、プラスチック容器に入った昼ご飯や汁物を割り箸で食べると、どうも気が重くなる。どこかにプラスチックの味がして、どこの弁当も結局は同じに思えてくる。
やはり店に座って店主に挨拶をして、そそられたばかりのご飯を茶碗で食べたい。お椀で汁物をすすりたい。そんな時に、目白の旬香亭がやっていると聞いた。コロナ禍でしばらく閉じていたが、この22日から再開したという。ここは現在、東京で一番うまい洋食が食べられるのではないか。
昔は銀座の「煉瓦亭」や「銀座スイス」が有名だったが、今食べるとさほどでもない。「みかわや」や「資生堂パーラー」は半分フランス料理で、値段もそんな感じ。そういう時に目白駅前の新しいビルに忽然と現れたのが、「目白 旬香亭」だった。
ここでおいしいのは、揚げ物。ミンチカツ、アジフライ、エビフライ、カツレツなど、書いているだけであの店の香ばしい匂いが漂うようで涎が出てくる。それから揚げたばかりのトンカツで作るカツサンドもシメに抜群。ここは夜に行って好きなものを食べられるだけアラカルトで注文しても、フランス料理に比べたら高くない。
店は天井が高く、テーブルとテーブルの間は、コロナ禍の前から十分に取ってある。給仕はフランス料理風できちんとしているし、台所はオープンキッチンで若い料理人たちがきびきびと働く姿が見える。あえて欠点を言えばワインリストが弱いことだが、それでも安くてそこそこのワインがあるからいい。
先日、初めて昼ご飯に行ってみた。ビフテキのランチは、スープ(か味噌汁)とサラダとパン(かご飯)が付いて2200円と高いが、久しぶりに昼にうまいものを食べた気がした。目白は歩いては行けないが、バスに乗ると椿山荘や田中邸や学習院の先で15分ほど。往復に400円、昼ご飯にビールを入れたら3000円を超すが、久しぶりに優雅な昼食の楽しみを味わった。
一日中自宅でパソコンの前にいると、頭がジンジンしてくる。そういう時は散歩をするが、たまにこういう昼食があると元気が出る。ほかに見つけたら、また書こうと思う。
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