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2020年4月22日 (水)

日本統治下の朝鮮映画について:その(4)『韓国映画100選』を読む

昨年末に『韓国映画100選』という本が出た。もともと2013年に韓国で出た本の翻訳だが、それ以降の5本を日本側で足している。足した一番最後に『パラサイト 半地下の家族』(2019)があって、いい感じのリストになっている。大判のA4サイズで、各作品に見開きで解説がたっぷり。

日本で足した5本は、『怪しい彼女』(2013)『国際市場で会いましょう』(14)『新感染 ファイナルエクスプレス』(16)『タクシー運転手』(17)に『パラサイト』で、これなら私もすべて見ている。エンタメでありながらレベルの高い作品ばかり。

韓国でこの本を出したのは韓国映像資料院で、日本の国立映画アーカイブにあたる。そこが古い作品にも詳しい映画評論家、映画研究者など62名を選び、その投票で決めたという。『100選』なのに101本あるのは、同じ票数の作品があったからのようだ。先ほどの5本を加えて全体で106作品が載っている。

年代別には1960年代が25本と一番多い。次が90年代の20本、80年代の18本と続く。2000年代が少ないのは、票が割れたかららしい。前にここに私は1996年から97年にかけて『韓国映画祭 1946-1996』を企画して約100本を上映したと書いたが、半分近くの作品が重なっているから懐かしい。

『自由夫人』『ロマンス・パパ』『成春香』『誤発弾』『離れの客とお母さん』『帰らざる海兵』『金薬局の娘たち』『浜辺の村』『霧』『山火事』など、なぜか50年代後半から60年代の映画群が今でも場面を覚えている。この映画祭は全く人が入らず、私が手がけた映画祭では唯一赤字となった。だから観客がまばらな川崎市市民ミュージアムや三百人劇場で、ゆったりと座って見ていたことを思い出す。

私が関心を持っている日本統治下の朝鮮映画が4本ある。『青春の十字路』(34)『迷夢』(36)『家なき天使』(41)『半島の春』(41)だが、サイレントの『青春の十字路』のみ2007年に韓国内で見つかったが、あとはすべて2004~05年に中国電影資料館から出てきたもの。私は『青春の十字路』は2015年末にフィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)で見たきりで、DVDはたぶん出ていない。

『青春の十字路』は現存する最古の映画で唯一のサイレント作品だから入るのは当然として、なぜ『迷夢』など3本か。『迷夢』は戦後の『自由夫人』の先をゆく映画で、夫の束縛から逃れて自由に生きるために都会を彷徨う女を描いた現代性や先駆性だろう。『半島の春』は映画撮影現場を描いた点が一番だろう。

『家なき天使』は同じ崔寅奎(チェ・インギュ)監督ならば、明らかに前年の『授業料』の方がいい。ただしこれが中国で発掘されたのは2014年なので、この本の韓国版には間に合わなかったのだろう。つまりこの本の選考は、あくまで62名が作品を見て選んだものだ。実際に「選定に当たって」に「選定委員の熟考をサポートするため、韓国映像資料院のオンラインVODを自由に閲覧する権限を付与した」と書かれている。

この本は韓国映像資料院の40周年記念で作られたというが、日本の国立映画アーカイブがこういう本を出すだろうか。現在私が持っているDVDの日本統治下の朝鮮映画も、すべて韓国映像資料院が出している。日本の国立映画アーカイブもこういう普及活動ができないのだろうか。今年はフィルムセンターが1970年にできて、50周年なのだが。

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