映画館が閉じた後の新聞の映画面について:その(3)
最近のこのブログはすべてシリーズ化している感じがするが、映画館も美術展も閉じており、本も読まない(今は論文関係しか読む時間がない)ので書くことがないからだが、まあお付き合いを。映画館が閉じてからの金曜夕刊の新聞の映画面は、各紙のカラーが定着してきた。
一番映画館への執着を見せるのが「毎日」。ただし先週も真ん中に過去の名作を入れた。『鉄道員(ぽっぽや)』だったが、今週は配信公開の想田和弘監督『精神0』。ほかは先週が地方公開で今週は「近日公開」。「朝日」は配信やBS、WOWOWとテレビ画面でも今見られるものにこだわる。今週はトップに『精神0』。
「読売」は「チェック・トゥ・ザ・フューチャー」と題して先週がペリー荻野さんの新選組映画で今週は瀬名秀明さんの「ドラえもん」。「Dear映画館」は今週は行定勲監督で、よこに想田和弘監督のインタビュー。「日経」は従来の2本分を自由な映画エッセーに。先週は中条省平さんで今週は野崎歓さん。左横に配信で今週は『精神0』。
いわゆる「左」の2紙が映画館(とそれに近いもの)に固執し、「保守」の2紙は公開にこだわらず自由なエッセーを外部筆者に頼む。これはある意味で現在では「左」の方が教条主義的で「保守」の方が身軽になったことを示す一例ではないか。それにしてもトクをしたのは配信での公開を単独で決意した『精神0』だが、さて実際には1,900円でどのくらいの人が見るのだろうか。
個人的には「日経」に書いた中条さんも野崎さんも前から知っているので、楽しんだ。中条さんは1984年秋にパリのアメリカ館に着いた時に、ほぼ同時にそこに住み始めて知り合った。当時はもちろん無名だったが、話し始めると本当におもしろかった。夜中になるとよく田中角栄のマネをしていた。「じゃあ今日は、田中角栄がパリの留学生を叱る、をやります」とか。
中条さんは「日経」に『絹の靴下』について書いていたが、当時からミュージカル映画が好きだった。「大の男がいきなり歌って踊り出すなんてバカみたいと最初は思うでしょ、これが何本か見るとだんだんハマってくるんだよ」と言っていた。
当時、いつもミュージカルばかりやっていたのはシャンゼリゼ近くの「マクマオン」Mac-Mahonという映画館だった。ここは50年代から60年代にかけてアメリカ映画ばかり上映して、そこに通う者は「マクマオニアン」と呼ばれたと教えてくれたのも中条さんだったのではないか。私も当時何度か行ったが、20代前半の私にはミュージカルの良さはあまりわからなかった。
新聞の映画評の話が、いつの間にかパリの話になった。60歳を前にしてこの懐古趣味だと、70歳になった時はどうなるのだろうか。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- イタリア映画祭も数本:続き(2026.05.14)
- 「イタリア映画祭」も数本(2026.05.04)


コメント