コロナ禍時代の外食の快楽:その(2)矢来町の「ボン・グゥ」など
「フレンチ前菜食堂」と銘打った矢来町の「ボン・グゥ神楽坂」が8年前にできた時は衝撃だった。美容室の2階で簡素な内装だが、とにかく前菜の種類が豊富。値段は居酒屋並みに安くて一品数百円からあるし、ワインも安くていいセレクション。たちまちにファンになった。
最初はそうでもなかったが、だんだん女性客が多くなった。特に夜はOLさんの集まりや主婦の集まりなど、女性のみの団体が多い。別に悪いことではないが、男同士や男女2人で行ったりするとちょっと場違いな感じ。何となく足が遠ざかっていった。
ある時、昼に行ってみたらびっくり。1000円のランチで野菜たっぷりでパテ入りの前菜盛り合わせにスープにメインがタルト・フランベやエビのカレーを選べる。タルト・フランベはアルザス地方のピザみたいなもので(個人的にはアルザスでは見なかったが)、チーズはなくて軽くパリっとしている。ここはそれがいつも5、6種類あった。
昼に自宅近くで人と会う時はよくここに行っていたが、だんだん混み出して列ができることもあった。13時頃に「本日のランチは終わりました」ということも。何となく12時前に行かないという感じになってからは、足が遠のいた。
先日昼頃その前を通ると、テイクアウトをやっていた。聞いてみるとレストランもやっているとのこと。階段を登ると、さすがに客は少ない。窓に面したカウンターに陣取ると、いつもと同じタルト・フランベ数種のランチがあった。
- 「特選生ベーコンと淡路玉葱」「釜揚げしらすと吉野川産青海苔」「アンチョビペーストとモッツアレラと淡路玉葱」などなど日本の食材をたっぷりつかったものから選べる。多くのお店が閉じたこんな時期に、全くいつもと同じようにやっているなんて。
いつもと同じと言えば、江戸川橋の「ふたば」のランチも昔と変わらない。前に書いたようにここは一軒家だったのが、そこにできたマンションの1階に入った。ずいぶん広くなったので、密集空間からは程遠い。刺身、サバの塩焼き、鮭と牡蠣のフライ、鮪としらす丼などの定食が800円から千円。いつもと全く同じで嬉しくなる。
外を歩く人全員がマスクをしているようなSF的な光景のなかで、「日常」が感じられるのは何とも気分がいい。このほか、ラーメン屋と寿司屋がほぼ変わっていない印象を持つ。これは後日。中年男の昼の彷徨は続く。
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