本を書いて考えたこと:その(6)NHK
本を書いた勢いで、昨朝NHKの「おはよう日本」に出た。最初に大学に連絡があったのは5月25日。翌日に1時間ほどの電話取材を受けて、その後メールでやり取りが始まった。連絡をしてきたディレクターが若い女性だったので、最初は私は情報提供のお手伝いくらいに思っていた。
大手マスコミ報道ではよくあることで、その分野には無知な若い記者があちこちに電話をして情報を集め、何とか記事や番組に仕立てるパターンである。大手紙やテレビ局の名前を出せば、有名な先生でも無料で教えてくれることが多いのは、自分でも経験していた。
一応「NHKの「おはよう日本」のディレクターから連絡があった」と新潮社の担当者に知らせたら、先方はこれは大変だと大騒ぎし始めた。「「おはよう日本」に出ることが決まったら、前日には全国大手書店にファックスを出すくらいです」「出演は無理でもとにかくコメントだけでも載るようにしてください」
というわけで、NHKからのメールにはできるだけ丁寧に答えた。聞かれてもいないのに、「この人に話を聞いたらどうでしょうか」「紹介もしますよ」という具合。
もともとのテーマは「コロナ禍で美術館はどう変わるか」というものだった。私の本は別にコロナ禍とは関係ない。書き終えたのは昨年末だから当たり前だ。ところがコロナ禍で大型の「ブロックバスター展」は「3密」となり、開催ができなくなった。というわけで急にタイムリーな本になったのは前にも書いた通り。
最初の取材後、急に美術館が再開し始めた。そこでその再開の方法を取材するということになり、6月半ばの放映予定が6月末になった。私はてっきり6月18日に再開する国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が中心になるとばかり思っていた。
17日に連絡があり、翌週に大学で番組収録をしたいとのことだった。そこで22日夕方に設定した。先方はディレクター、カメラマン、録音技師で大きな機材を持ってやってきた。研究室の本をあちこち動かしてそれらしく設定して、撮影は約1時間。
会ってみるとディレクターの女性は感じがよくて質問がうまく、すらすらと気持ちよく話すことができた。放映は昨日の朝7時からだったが、私の話はわずか30秒余り。本の名前もでないし、そもそもマスコミ主導のブロックバスター展の弊害の話も出て来ない。
スマホで撮った写真で見るとNHKのキャプションは「たまたまこういう状況になって 新しい展覧会の時代 美術館の時代が訪れつつあるんじゃないか」「地域の関連性やその美術館の目指す方向を作り 各館が個性あるコレクションを作っていけば」
写真を拡大すると後ろの本棚にはヴィスコンティだのメリエスだの映画の本しかない。なぜこの「芸術学部教授」はこの話をしているのだろうか、という感じだったが、たぶん本棚なんて誰も見ていないだろうな。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 安ワインに挑む(2025.11.17)
- コンビニは外国人旅行者の天国か(2025.11.09)
- 「映画祭について本を書いたら」(2025.11.02)
- 「終わった」か(2025.10.26)
- 鹿児島のこと(2025.10.24)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『やなせたかしの生涯』を読む(2025.10.22)
- 今さら『名画を見る眼』を読む(2025.09.24)
- 『側近が見た昭和天皇』の天皇像(2025.09.05)
- 『アメリカの一番長い戦争』に考える(2025.08.28)
- 蓮池薫『日本人拉致』の衝撃(2025.07.08)


コメント